呼び名 ページ10
日曜日。明日は祝日。三連休。
こんなチャンス逃せない！
ということで癒しを求めてしゅんくん宅に2泊3日のお泊まりデート。2日目です。
初日は一緒に買い物に行って、まさかの良い服を買って貰っちゃって、一緒に美味しいもの食べて、一緒にお風呂でゆっくりして、疲れきって抱き合ったまま寝て……
思い出しただけで幸せすぎてもう………
クッション抱き潰しちゃう……
「なにしてんの、潰れちゃうでしょ」
「えへへ〜しゅんくん、わたししあわせ」
「幸せか〜、いいね〜」
あたまぽんぽんを頂いてさらに幸せ。ふふって笑いが漏れちゃうぐらいに幸せ。
「ね、Aちゃん、ひとつ聞きたいんだけど」
「はぁい？」
「俺の事しゅんくんっていつまで呼ぶ？」
「んえ？あー、どーだろ。でももうそれで定着しちゃってる」
「そっかー、そっか」
小さい頃からしゅんくん呼びでいるから、いまから変えるってなったら難しいんじゃないかな。とか思う。
でも結婚したらあなたとか呼んでみたいし子供できたらパパとか呼んでみたかったりはする。
「今日だけさ、駿貴って呼んでみない？」
「え、なんで？」
「いやなんか、呼んで欲しいなーって思った」
「えーえ？わかったけど……」
「よしじゃあ今日は駿貴呼びね」
小さくガッツポーズするのを見て、なんか不平等だな〜って思った。私もちゃん呼びはそろそろ卒業したいかもしれない。だってもう立派な大人だから。
「じゃあ私も違う呼び方して？」
「ん、Aちゃんも変えて欲しいのね？そっかー、じゃあどうしよう……」
俯いて考える。顔を上げた時、出てきた案は予想を超えるもので。
「じゃあお嬢さんで。お嬢さん好きだよ」
「おじょ！？！？」
「お嬢さん。俺のお嬢さん」
「お嬢さんって、なんか京都の実家近くのおじさんがお嬢ちゃんって言ってたみたいやんかぁ！尚更子供扱いぃ！」
「いや一切そんなつもりは無いよ？お嬢さんだよ俺の。可愛いお嬢さん」
可愛いとか俺のとか言われると言葉がでなくなってくる。この人、色々上手い……
「ほらお嬢さん名前で呼んで？」
そう言って膝に乗っけられて向かい合う状態になる。じーっと見つめられるものだから、もう何も抵抗出来なくて、
「し、しゅんき……」
「ん、よくできました」
ほっぺにちゅ、と触れるだけのキスをして離される。
無駄に熱くなった気がする。
頭がいいだけじゃなくて、策士で本当に困る。
でも、それが好き。
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作者名：やどかりさん | 作成日時：2020年11月8日 15時
