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まい「お、お冷、し、失礼します…」
薮?「ありがとうございます」
微かに揺れるグラスを慎重にテーブルに運ぶ。
グラスのそこをテーブルにつけた途端
男性の手がグラスに触れた。
まい「?!」
その拍子に勢いよくグラスから
手を離してしまった。
薮?「うわっ!」
グラスは倒れて
中に入った水がテーブルに広がっていく。
まい「す、すみません!かかっていませんか?」
薮?「大丈夫です。テーブルは俺が拭いとくんで」
そう言ってテーブルに置いてある紙ナプキンを
何枚も重ねて拭き始めた。
何枚も何枚も出して拭いているのに
一向に水は拭き取れていない。
薮?「あれ……あの、布巾貰ってもいいですか?」
少し申し訳なさそうな顔でこちらを見てくる。
まい「は、はい…っ!」
急いで取りに行って、自分でテーブルを拭いた。
薮?「あ、ありがとうございます」
まい「い、いえ!
わ、私がこぼしてしまったので…」
薮?「いや、俺が置く前に取ろうとしちゃったから」
まい「ち、違います!私のせいです…
すみませんでした」
薮?「いやいや、俺です悪いのは…
すみませんでした」
私が頭を下げると
男性も続けてぺこりと頭を下げた。
薮?「ぷっ…」
まい「??」
驚いて顔を上げると
男性は口元に人差し指の甲を当てて笑っていた。
薮?「いや、なんかお互い頭下げて
必死に謝ってるの面白いなって笑」
まい「っ…」
その男性の笑顔はマスク越しでも分かる
ふにゃっとした可愛らしい笑顔
私の大好きな人の笑顔だった。
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作者名:やぶまい | 作成日時:2020年3月4日 8時