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矢花サイド
松尾の母「待って!」
急に呼び止められて､思わず振り向いた｡
松尾の母「黎くん､これは私の推測で確信はないのだけれど…」
矢花「えっ?(・・?)」
松尾の母「いいえ､何でもないわ｡黎くん､龍と友達になってくれてありがとう(^-^)」
矢花「…また来てもいいですか?」
松尾の母「えぇ､いつでも(^^)」
矢花「…ありがとうございます(^^)｡では､失礼しますm(_ _)m」
龍のお母さんに挨拶すると､家を後にして走った｡
思わず聞いてしまったけど､龍のお母さんがそう言ってくれて嬉しかった｡
時間を作って､また来よう｡
矢花「(さっきの窓のシルエット､絶対に龍だよ!)」
窓のシルエットが向かった方向へと走り､奥へと進んでいく｡
矢花「龍…!龍…!」
名前を呼びながら無我夢中で走っていくと…｡
矢花「わぁ…」
思わず立ち止まって辿り着いたのは､空色のような清らかな湖だった｡
あんな荒れ果てた町の中に､こんな湖があったなんて…!
矢花「あれは…?」
白い鳥の群れが湖で泳いでいる姿を目にした｡もしかして､白鳥…?
松尾「バナさん…」
矢花「っ!?龍…!」
聞き覚えのある声がして隣を見ると､俺がプレゼントしてあげた私服を着た龍が立っていた｡
俺はギターケースを地面にそっと置くと､少しずつ龍に近づいていった｡
矢花「龍…なんだね…」
松尾「バナ…さん…急にいなくなって…ごめんね…」
俺は首を横に振りながら龍の前に来ると､抱きしめてあげた｡
龍は「ごめんね…ごめんね…」と謝りながら､抱きしめ返す｡
松尾「にしてもバナさん､どうしてここに…?」
矢花「以前､龍が住んでいた町の事を話してくれたじゃん｡井ノ原さんがその話をしてくれて､龍が住んでいた町だと気がついたんだよ｡この町で見掛けたと聞いて､故郷が恋しくなったのかなって」
松尾「それもそうかな…」
矢花「あの日､どうしていなくなったんだよ｡親父も母さんも妹も井ノ原さんも､心配していたんだよ｡もちろん､俺だって…」
松尾「それは謝る｡ごめんなさい｡だってこれ以上､バナさんの家にいたら迷惑が掛かっちゃう｡それに､また施設に連れて帰られるのはイヤ｡バレエ専門の学校に通いたい想いもあったけど､バナさんがだんだん遠くに行っちゃうような感じがして…っ!?」
矢花「迷惑なんかじゃない!何を言ってるんだよ!」
さっきよりも強く抱きしめた｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年10月17日 22時
