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矢花サイド

すると、龍のお母さんは重たいように口を開いた。

松尾の母「龍は、私の本当の息子じゃないの…」

矢花「…えっ( ; ゚Д゚)?」

松尾の母「あの子は捨て子で、可哀想に思った私が拾って育てる事にしたの。でも、実の息子達や町の人達は良く想ってなかったみたい…(´・д・`)」

それでも周囲からの反対を押しきって、育てる事にしたという。

龍のお母さんは白鳥町のスーパーでパートで働きながら、

龍とお兄さん達を女手一つで育てつつ、お兄さん達や近所の人達に辛く当たられた龍を庇ったりした。

龍が寮のある中学校に入学してからは安堵しながらも彼を心配し続け、生活していた。

ところが今年の春、体調が悪くなって働いていたスーパーを辞めてしまい、家にいるようになってしまったんだ。

矢花「龍は、本当の息子じゃない事は…」

松尾の母「言おうと思っていたんだけど、タイミングが掴めなくて伝えていないの…(´・Д・`)」

矢花「まだ知らないという事ですね」

松尾の母「えぇ…」

それじゃあ、龍はどこの出身なんだろう…?

白鳥町で育った事は分かったけど、ますます分かんなくなってきたような…。

松尾の母「あら?黎くん、ギター弾くの?」

ショルダーバッグの近くにあるギターケースを見て、聞いた。

矢花「はい。俺、音楽が大好きで将来は音楽を生かす仕事に就こうと思っているんです」

松尾の母「それは良い夢ね。私も音楽が好きだけど、家にあったギターとかは全て売ってしまったから…」

矢花「良ければ1曲、弾き語りをしましょうか?」

松尾の母「是非、聞きたいわ」

矢花「分かりました(^-^)」

ギターケースからアコースティックギターを出して座ると、弾き語りを始めた。

龍のお母さんも俺の夢を否定しなかった。

この人も音楽が大好きで、俺の弾き語りを嬉しそうに聴いてくれている。

やっぱり、俺は音楽が大好きだ。将来は大好きな事を生かす仕事をしたい。

弾き語りを終えると、龍のお母さんは拍手をしてくれた。

矢花「ありがとうございましたm(_ _)m」

松尾の母「素晴らしかったわ。龍も聴いたら、喜んだでしょうね…」

矢花「だと思います…うん?」

松尾の母「どうしたの?(・・?)」

今、窓に人の影がいたような…。

矢花「(あのシルエット…まさか!?)すみません、失礼します!」

俺は慌ててアコースティックギターをケースにしまい、ショルダーバッグを肩に掛けて出ようとした。

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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時

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