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矢花サイド
俺が出会った女性は、
片岡さんによると、龍のお母さんの体調が優れないようで毎日のように家を訪れて診ているという。
龍が住んでいた家は、駅から5分程の人気がない場所にあった。
ピンポーン♪(チャイムの音)
片岡「松尾さーん、片岡です。お邪魔してもよろしいでしょうか?」
家の中から「どうぞ〜」と声がしたので、片岡さんは「失礼します」と入り、俺も続く。
お邪魔すると、寝巻き姿の女性がやって来て出迎えてくれた。
この人が龍のお母さん…体調が優れないという事もあってか、顔色が悪くて少し痩せている。
松尾の母「今日もすみません、来てくださって。(矢花を見て)あら?彼は…?」
俺は頭を軽く下げると、龍の友達だと告げて写真を見せてあげた。
松尾の母「(写真を見て)まぁ…あの子があんなに大きくなって。あっ、すみません。片岡さん、診察をお願いします。息子のお友達もどうぞ(^-^)」
矢花「はい、お邪魔しますm(_ _)m」
数十分後、龍のお母さんの診察を終えると片岡さんは家を後にした。
龍のお母さんがこの町は寒くなるのが早いからと、ホットココアを淹れてくれた。
松尾の母「さぁ、どうぞ」
矢花「ありがとうございます。いただきます」
ホットココアを一口飲み、体がポカポカと温まっていく。
松尾の母「高校を退学してから行方が分からなくなって心配していたけど、児童養護施設に引き取られていたなんて。その後、黎くんの家に居候させていただいて…。黎くんの話なら、龍も幸せでしょうね」
矢花「ですけど、数週間前に突然、いなくなってしまって(´・Д・`)。この町で見掛けたと聞いて、来たんですけど」
松尾の母「まぁ。だけど、うちには来なかったわね。お兄ちゃん達にいじめられたりキツく当たられていたから、ここに帰るのが怖くて何処かにさまよっているのだろうけど…」
龍がお兄さん達にいじめられたりした話は、本当だった。
実の兄弟なのに、どうして…。
矢花「龍のお兄さん達は今、何をしてるんですか?」
松尾の母「それぞれ社会人、大学生になったわ。私が体調が悪くなったと聞いて、今はここに帰ってきているの」
じゃあ、普段は離れて暮らしているという事か。
矢花「あの、彼はどうしてお兄さん達や近所の人達にいじめられていたんですか?この町で生まれて育ったのに…」
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時