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矢花サイド
アナウンス「次は〜白鳥町〜次は〜白鳥町〜」
車内のアナウンスが流れ、立ち上がって上の台にあるギターケースを下ろして到着するのを待つ。
少しして白鳥町駅に着き、電車を下りた。さて、龍を探さないと。
矢花「(なっ…ここが白鳥町…(・_・;)?)」
駅を出ると、俺が想像していたのとかけ離れていて驚愕した。
白鳥町は穏やかで清らかな町なのかと想像していたのに、やや荒れ果てていて寂しそうな町だったのだ。
人もあまりいないし、店も家も古そうで観光客も来なさそうな感じだな…(ーー;)。
矢花「(ここまで来たわけだし…とりあえず、彼を探そう)」
井ノ原さんから預かった龍の写真を手に、町の人々に聞いてみる事にした。
矢花「すみません。この写真の少年を探しているのですが…」
おじさん「いや、見ていないな」
矢花「そうですか。ありがとうございます。(お姉さんに)すみません。この写真の少年、見ていませんか?」
お姉さん「ごめんね、知らないわ」
矢花「ありがとうございます。お仕事中、失礼しましたm(_ _)m」
その後、町を回って人々に聞くけれど、答えは同じだった。
矢花「はぁ…(ーー;)」
聞き回って疲れたので、近くのベンチに座り込んだ。
白鳥町で見掛けたと聞いたのに皆、知らないなんて。
矢花「(そりゃ、成長した龍の事を知る人はいないよな…)」
龍の写真を見つめていると、「こんにちは」と一人の女性(40代ぐらい)が話し掛けてきた。
黒のミディアムヘアに眼鏡を掛けていて、茶色のブルゾンに黒ズボン。
手にはトランクを持っている。
矢花「こ、こんにちは…」
女性「この町に、お客さんが来るなんて久しぶりだわ。あなた、観光客?」
矢花「あっ、いや…人を探していまして」
女性「人?」
矢花「白鳥町で見掛けたって聞いて来たんですけど。この写真の少年を探しています」
龍の写真を女性に見せてあげた。
女性「見てないけど…この子の名前は?」
矢花「松尾龍くんって言って、以前はこの町に住んでいたそうです」
女性「龍くんですってΣ( ゚Д゚)!?」
矢花「知ってるんですかΣ( ゚Д゚)!?」
女性はコクコクと頷いた。
女性「あの子は子供の頃、うちの母の髪をよく切ってくれたのよ。ヘアカットが上手い子で…」
やっぱり、間違いない!龍は以前、この町に住んでいたんだ!
女性「これから龍くんのお母さんの家に行くんだけど、一緒に行く?」
矢花「はい、お願いします!」
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時