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松尾サイド
お母さんのお葬式から数日後。
俺はお兄ちゃん達に書き置きを残して、松尾家を出ていった。
家を出て白鳥町を彷徨ながら歩いていると、たまに行っているあの場所に来てしまっていた。
松尾「今日は白鳥はいないのかな…」
実家に帰ってから白鳥を見に、町の中にある湖に行くようになったんだ。
昔はお兄ちゃん達や学校のクラスメイト達に苛められ、
近所の人々にもキツく当たられ、児童養護施設の子供達にも当たられたり、
職員の皆さんに知らんぷりされて…。
だけど、こんな醜い俺を救ってくれたのがバナさんだった。
それなのに、バナさんを傷つけることになるなんて(´・д・`)。
心まで醜いのか…。
松尾「(酷い目に合うよりも殺された方がマシかもしれない…。いや、ここで死んだ方が)」
湖に自分の姿を映して、しばらく見つめていたら目から涙が出てくる…。
バナさんは俺を醜くなんかないって言ってくれたのに…。
あぁ…俺はやっぱり、みにくいダンサーの子だ…。
松尾「(ごめんね、バナさん…大好きだったよ。さようなら)」
ゆっくりと歩いていき、冷たい湖に入っていって、
どんどん中へと沈んでいく。
松尾「(…あれ?)」
水中にいるのに、何故か苦しくない。
どうしてだろう…?そう思った時。
松尾「(へっΣ( ゚Д゚)!?)」
右肩が急に光りだして、眩しい程に飲み込まれて…意識を失ったんだ。
松尾「…ん」
目を覚ますと、見えたのは白い雲が流れる青空。
寒かったのに、何だか暖かいし…。
ゆっくりと起き上がって、近くの湖に姿を映すと…。
松尾「(えっ…( ; ゚Д゚)?)」
映っていたのは黒髪…ではなく、金髪で上半身が裸で…。
松尾「(足が尾びれになってる…!)」
人間の足ではなく、真っ白な尾びれ。
ちょっと待って…?どーゆー事Σ( ゚Д゚)!?
戸惑っていると、湖で泳いでいた白鳥達が一斉に近づいてきた。
松尾「(あぁ…白鳥にまでバカにされるのか…(>_<))」
と思って、目を瞑った時。
松尾「えっ…?」
白鳥達が俺の所に来ると、優しく口ばしで撫でてくれた…。そして、
「初めまして、可愛い新人さん(^-^)」
松尾「うわぁ!?白鳥が喋ったぁΣ( ゚Д゚)!!」
「そりゃそうだよ。君はシーニュ一族の人魚なんだから(^^)」
松尾「シー…シー…(・_・;)?」
「シーニュ一族。白鳥の特性を持つ人魚よ」
「あなた、私達よりも可愛くて綺麗だわ(^-^)」
口々に言う白鳥達に、着いていけない…(ーー;)。
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時