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矢花サイド
都内の小さな町って、龍が施設に入る前に住んでいた町だ。
という事は、龍は故郷が恋しくなって帰ったのかな?
だけど、何も言わずに急にいなくなったのかが謎だ。
井ノ原「それで、あの子を見掛けた町は
白鳥町…聞いた事ないし、どんな町なのかも知らないな。
井ノ原「本来なら明日、僕が行く予定ですが急用が入ってしまいまして(^_^;)」
矢花の母「休職中ですのに?(・・?)」
井ノ原「えぇ。ちょっと、施設の方でトラブルがありまして(^_^;)」
明日は親父も母さんも仕事だから無理だし、結は学校は無いけど友達と遊ぶ約束があるんだよなぁ。
俺も学校は無くて、音楽塾のレッスンが無いから…。
矢花「あの、井ノ原さん。俺、行きます!」
結「お兄ちゃん!?」
矢花の両親「黎!?」
矢花「親父も母さんも結も、明日はそれぞれ用事で手が放せないでしょ?」
矢花の父「あぁ…そうだけど」
矢花の母「黎、大丈夫なの(´・Д・`)?」
俺は頷いた。龍は俺の大切な友達…いや、大切な人になっているのかもしれない。
居候してから、ずっと家族と楽しく過ごしてきた。
一緒にご飯を食べたり、矢花家の好きな音楽バラエティー番組を見たり、
楽器を奏でたり弾いたり、セッションしたり…。
どれも思い出してくる。
井ノ原「矢花くん…申し訳ないね。ありがとう。それじゃあ、お願いしてもらってもいいかな?」
矢花「はい!」
こうして明日の休日、俺は龍を探しに白鳥町に行く事になった。
翌日。俺は白いブルゾンにジーンズスタイルに着替え、
ショルダーバッグを肩に掛けて家を出た。
バスに乗って駅に向かっている間も、龍の事を案じていて、
連れて帰ったら何しようと考えていたんだ。
一緒にセッションしようか、ショッピングしようか、それとも…。
矢花「(髪、切ってもらおうかな。また、伸びてきたし)」
ショルダーバッグを開けて、1枚の紙を取り出す。
『たつるサロン ヘアカット1回分無料券』
と、カラフルな文字で書かれていた。
これは龍が姿を消す前、俺にプレゼントしてくれた大切な物。
龍の手作りであり、俺を驚かせようと当日まで内緒にしていたらしい。
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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時