検索窓
今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:1,455 hit

8-3 ページ4

矢花サイド

都内の小さな町って、龍が施設に入る前に住んでいた町だ。

という事は、龍は故郷が恋しくなって帰ったのかな?

だけど、何も言わずに急にいなくなったのかが謎だ。

井ノ原「それで、あの子を見掛けた町は白鳥町(しらとりちょう)という名前です。港町を出て、少し先の駅から電車で行けます。まだ、そんなに遠くには行っていないはずです」

白鳥町…聞いた事ないし、どんな町なのかも知らないな。

井ノ原「本来なら明日、僕が行く予定ですが急用が入ってしまいまして(^_^;)」

矢花の母「休職中ですのに?(・・?)」

井ノ原「えぇ。ちょっと、施設の方でトラブルがありまして(^_^;)」

明日は親父も母さんも仕事だから無理だし、結は学校は無いけど友達と遊ぶ約束があるんだよなぁ。

俺も学校は無くて、音楽塾のレッスンが無いから…。

矢花「あの、井ノ原さん。俺、行きます!」

結「お兄ちゃん!?」

矢花の両親「黎!?」

矢花「親父も母さんも結も、明日はそれぞれ用事で手が放せないでしょ?」

矢花の父「あぁ…そうだけど」

矢花の母「黎、大丈夫なの(´・Д・`)?」

俺は頷いた。龍は俺の大切な友達…いや、大切な人になっているのかもしれない。

居候してから、ずっと家族と楽しく過ごしてきた。

一緒にご飯を食べたり、矢花家の好きな音楽バラエティー番組を見たり、

楽器を奏でたり弾いたり、セッションしたり…。

どれも思い出してくる。

井ノ原「矢花くん…申し訳ないね。ありがとう。それじゃあ、お願いしてもらってもいいかな?」

矢花「はい!」

こうして明日の休日、俺は龍を探しに白鳥町に行く事になった。


翌日。俺は白いブルゾンにジーンズスタイルに着替え、

ショルダーバッグを肩に掛けて家を出た。

バスに乗って駅に向かっている間も、龍の事を案じていて、

連れて帰ったら何しようと考えていたんだ。

一緒にセッションしようか、ショッピングしようか、それとも…。

矢花「(髪、切ってもらおうかな。また、伸びてきたし)」

ショルダーバッグを開けて、1枚の紙を取り出す。

『たつるサロン ヘアカット1回分無料券』

と、カラフルな文字で書かれていた。

これは龍が姿を消す前、俺にプレゼントしてくれた大切な物。

龍の手作りであり、俺を驚かせようと当日まで内緒にしていたらしい。

8-4→←8-2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。