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矢花サイド
井ノ原さんの話を聞いてやって来たのは､森の中にあるトンネルだった｡
トンネルの前には､立ち入り禁止の看板とバリケードが｡
矢花「この先に龍が住んでるって…嘘だろ?」
とはいえ､井ノ原さんが言っていた事は嘘っぽく無さそうだな…｡
職員の中で唯一､龍の事を気に掛けていたし｡
バリケードを少しずらして入り､元の位置に戻してからトンネルに入った｡
トンネルなのに､周りはやや明るいので足元も見えるから転ばずに済むな｡
あれだけ歩いているのに､分岐点もない｡一本道のトンネルなのだろう｡
トンネルに入って歩いてから､約5分｡
矢花「出口だ!」
先に光が見えてきて､思わず出口に向かって駆け出してトンネルを抜けた｡
矢花「…何だあれ?(・・?)」
俺の目線の先には､古びたそうな西洋のお屋敷｡近くには清らかで大きな湖｡
地面には所々に咲いている花｡春だと優雅にヒラヒラと舞う蝶達｡
こんな立派な家に龍が住んでるって…?
もしや､実は良い所の坊っちゃんとか…?
「侵入者だぁーーーーーっ!!!!!」
矢花「うえっΣ( ﾟДﾟ)!?」
すると突然､お屋敷の中から数人もの男女が槍を持って出てきて俺を囲んだ｡
「ここは我々の住み処だ!」
「あなたみたいな部外者が来る所では無いのよ!」
「人間は立ち去れ!」
矢花「ちょっと待って!俺､友達がここに住んでるって聞いて…」
「問答無用よ!」
「住み処を荒らしに来たのは分かってるんだ!」
矢花「それに部外者じゃない!皆さんだって､人間…」
「部外者には懲らしめないと分からないようだな!」
「そうね!覚悟なさい､人間め!」
そう言うと､槍を持った人達は「やぁぁーーーっ!!!」と襲いかかってきた!
矢花「…っ!?」
「待って!!」
聞き覚えのある声がして､恐る恐る顔を上げると…｡
矢花「た､龍…!?」
初めて会った時と同じ､黒髪で白い服で裸足の龍｡
そして､龍の後ろにいるのは数人の男女｡
?「その方は龍様の恩人だ｡下がれ」
龍の隣にいる､同じく白い服を着た老人が言うと槍を持った人達は頭を下げて､下がっていった｡
松尾「バナさん…」
龍は申し訳なさそうな表情で､俺にゆっくりと近づいてきた｡
えっと…何か俺も複雑で何て言えば､いいのか…｡
と考えていた時､龍が「あの時は､ごめんなさいm(_ _)m!!」と大きく頭を下げて謝ってきた｡
矢花「龍…顔､あげてよ!俺…」
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年10月17日 22時
