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矢花サイド
矢花「あっ､龍Σ( ﾟДﾟ)!」
走り去る龍を呼んだけど､彼は振り向く事なく行ってしまった｡
戻ってきてからは家族に心配かけぬように普通に振る舞ったけど､内心はずっと複雑だった｡
帰るまで龍とも話さなかったし､さよならも言わないで葬式場を後にしたんだ｡
あの出来事以来､龍に会いに行っていない…｡
結「お兄ちゃん､着いたよ!」
矢花「あっ､もう?(・・?)」
結に呼ばれて､ハッとして我に返る｡
窓の外を見ると､東京国際フォーラムが近くに見えた｡
矢花の父「黎､ずっとボーっとしていたみたいだけど大丈夫か?」
矢花「あー､何でもないよ｡親父､心配してくれてありがと(^_^;)」
矢花の父「あぁ｡きっと､この前の学校の試験で疲れていたんだろう」
そういう事じゃ…いや､半分はあるよ(^_^;)｡
矢花の母「さぁ､行きましょう｡今日は楽しい1日になるわよ(^^)」
俺は頷いて車を下り､音楽会が開催される東京国際フォーラムへと歩いた｡
今日は音楽会の鑑賞という事で､俺達家族もおめかししたんだ｡
俺は紺色のズボン､アイボリー色のカッターシャツに紺色のジャケットを羽織り､首には白い蝶ネクタイ｡
結は全体が白色のミニドレス､親父と母さんはエメラルドグリーンのスーツ(母さんはスカート)を着ている｡
どれも､親父と母さんが買ってくれた新品だ｡
チケットを受付に見せて音楽会が開催されるホールに入ると､
既に沢山のお客さんが席に座っていた｡
俺達は大体右側で､前から10列目｡割りと､よく見えるタイプかな｡
矢花「(龍もこういうの好きだろうな｡だけど､いない｡一緒に見たかったのにな…(´・д・｀))」
矢花の父「今回はバレエ曲メインで演奏するそうだよ」
結「バレエ曲かぁ｡私､くるみ割り人形が気になる(^-^)!」
矢花の母「お母さんは眠りの森の美女ね(^-^)」
家族の会話に耳が入らず､俺は始まるまで龍の事ばかり考えている｡
もはや､上の空にもなりそうで音楽会を楽しめない状況にもなりそう…｡
しばらくして開演5分前のアナウンスが流れ､どんどん座っていくお客さん達｡
また少しして開演のブザーが鳴って､照明が落とされて緊張が伝わっていく｡
そのまま､楽器の演奏が始まって音楽会が開幕した｡
矢花「(えっと､最初は…あっ｡眠りの森の美女メドレーか)」
暗い中､紙に書いてある音楽会のセットリストを確認した｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年10月17日 22時
