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松尾サイド

おばさん1「だけど、その内の1人は拾った子って聞いたけど」

おばさん2「確か、末っ子じゃなかった?」

松尾「…はっ?」

矢花「(マズイ…( ; ゚Д゚)!)」

会場の外で、お母さんが働いていたスーパーのパートのおばさん達を見かけた。

そのおばさん達の会話を盗み聞きする気はなかったけど、気になってしまって耳を傾けてしまったんだ。

そしたら、耳を疑うような事を聞いてしまったんだ…。

おばさん1「拾われた子、近所の人達からもキツく当たられていたそうね」

おばさん2「しょうがないわよ。本当の母親じゃないんだし」

おばさん達は俺達に気づかないまま、会話しながら去っていった。

松尾「俺の本当の…お母さん…じゃない…( ; ゚Д゚)」

矢花「(あっ…知られちゃったよ…( ; ゚Д゚))」

松尾「バナさん、聞いた?俺のお母さ…」

隣を見ると、バナさんは俯いたまま黙っていた。

松尾「バナさ…」

矢花「ごめん、龍」

バナさんは俺の顔も見ずに謝った。


矢花サイド

松尾「えっ?」

こんなはずじゃなかったのに、とうとう知られてしまった。

だけど、いつか必ず話そうと思っていたんだ。どんなに思われようが。

矢花「実は昨年の秋に初めて龍の家を訪れた時、お母さんから告げられたんだ」

松尾「はっ…?もう既に、バナさんは俺がお母さんの子供じゃない事を知っていたという事…?」

俺は俯いたまま、頷いた。

矢花「でも、お母さんはいずれ話そうとしていた。もちろん、俺からも伝えようと思っていた。驚くかもしれないし、受け入れてくれないかもしれないと思…」

松尾「嘘つき(`ヘ´)!!」

矢花「っΣ( ゚Д゚)!?」

いきなり、龍が怒鳴って俺はビビった。

松尾「じゃあ、俺はずっと血の繋がっていない家族と暮らしていたって言うの!?だから俺は、お兄ちゃん達や近所の人達にいじめられたり辛く当たられたって言うの(#`皿´)!?」

矢花「龍、最後まで話…」

松尾「俺はそんなの信じるもんかっ!信じるもん…ううっ(T_T)」

さっきまで怒っていた龍が急に泣きそうな顔付きに変わった。

龍が怒ったのは、金指の家で俺と言い合いになった以来だ。

普段は怒る事なく優しい龍が、あんなに声を荒げるなんて…。

松尾「ようやく、家族との時間を取り戻せたのに…だけど、しょうがないか」

矢花「それ、どういう…」

松尾「バナさんには関係ない!バナさんなんか大っ嫌い(#`皿´)!!」

そう言い放ち、龍は俺の横を通り過ぎて走り去っていった。

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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年10月17日 22時

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