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松尾サイド
矢花「嘘じゃないよ♪今､「幸福」に触ったみたい♪」
バナさんが奏でる音楽は素晴らしくて素敵すぎる…//｡
うっとりしながら聴いていると､ギター演奏が終わった｡
すると､バナさんのギター演奏を聴いた白鳥の群れは､
満足したのか白い翼を開いて飛ぶと､空の彼方へと去っていった｡
松尾「本当に美しいなぁ…(ﾟ∀ﾟ*)」
矢花「うん｡あっ､龍｡家族も井ノ原さんも心配している｡一緒に帰ろう?また､暮らそう(^-^)?」
松尾「ありがとう｡だけど､帰ることはできないの…」
矢花「何で?(・・?)もしかして､お母さんの事?」
松尾「会ったのΣ( ﾟДﾟ)!?」
矢花「うん…お母さん､体調が良くないんだって(´・Д・｀)?」
俺は頷くと､この町に戻ってきた理由を話した｡
数週間前､俺が矢花家を離れて出ていった後､
お母さんに会いたくなって､白鳥町に戻ってきた｡
本当は帰りたくなかったけど…一目でいいから会いたかった｡
そしたら､お母さんの体調が優れないと聞いて､この家にいる事にしたんだ｡
矢花「ちょっと待って｡お兄さん達に､キツく当たられてしまっているんじゃ…」
松尾「俺も最初はそう思ったよ｡だけど､お兄ちゃん達は俺を見て土下座して謝罪したの」
お兄ちゃん達は俺が中学生に進級して寮生活の学校に行った時は､
「いなくなって､清々した」って言っていたけど､
その後､俺がいなくなったのは自分達のせいだって後悔していたみたい｡
矢花「じゃあ､お兄さん達と仲直りしたの?」
松尾「まだ完全に許してはいないけどね｡でも､少しずつ関係は良くなっているよ」
矢花「それは良かった…」
松尾「折角､来てもらって申し訳ないけど､俺は帰らない｡施設にも戻らない｡イノッチ先生にそう伝えて｡バナさんのご家族にも」
矢花「…分かった」
ごめんね､バナさん…迎えに来てくれたのに｡
だけど､俺はこの町にいる事にしたんだ｡家族との時間を取り戻すために｡
矢花サイド
結局､龍を連れて帰るのを断念し､
1人で電車に乗り､帰ることになった｡
とりあえず､家族にこの事をLINEで伝え､
家に帰ってから詳しく話すと､
家族は「龍くんがそう言うなら仕方ない」と納得した｡
井ノ原さんも分かってくれたようで､
報告した施設長も「彼が望むならそれで構わない」と連れて帰らなくていいと言ったそう｡
龍が幸せなら､それでいい｡
それで､いいんだ…｡
第8話『いざ､白鳥町へ』 終わり
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年10月17日 22時
