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矢花サイド
その後､龍はお母さんのすすめで寮生活ができる中学校に入学した｡
これなら､龍はお兄さん達にいじめられる事もないし､
近所の人達にもキツく当たられる事もないだろうからって｡
中学はいじめられることもキツく当たられる事もなく､こちらも無事に卒業したそうだ｡
松尾「だけど､高校に進級した時､高校から来たクラスメイト達からいじめを受けるようになったんだ｡友達だと思っていたルームメイトも､裏切っていじめに加担したの(´・д・｀)｡それで､俺は高校に進級して僅か4ヶ月ぐらいで退学したんだ…」
矢花「それから､この街の児童養護施設に入った訳ね」
松尾「うん｡家には帰らないで､とりあえず何かバイトしようかなって､この街に来て歩いていたらイノッチ先生と出会ったの」
ところが､施設に入って暮らし始めても､いじめや辛く当たられるのに変わりはなかった｡
松尾「だから毎日のように､施設を飛び出して自然に囲まれた森の中で踊っているの｡子供だった頃､テレビで見ていたバレエの映像を見て､俺もあんな風になれたらなって｡だけど､皆に笑われそうでお母さんにバレエをやりたいなんて言えなくて｡こっそり人目のない所で､踊っていた…」
矢花「龍…」
松尾「あの時､踊っている俺を見て馬鹿にしなかったのは､矢花くんが初めてだった｡俺､確信したの｡矢花くんは､俺を理解してくれる人だって」
矢花「馬鹿にするなんて､お兄さん達も施設の職員達に子供達も酷いな(ーー;)」
松尾「それで､お兄ちゃん達や近所の人達､通っていた学校のクラスメイト達に､施設の子供達は俺をこう呼んでいるの」
矢花「…何て?」
恐る恐る聞くと､龍は震えながら呟いた｡
松尾「俺は…みにくいダンサーの子だって」
…声が出なかった｡そんな風に呼ばれていたなんて｡
松尾「俺…そんなに､醜いかな…｡だから､辛く当たられるのかな…｡俺はそんな事を気にしないように生きてきたつもりだけど､やっぱり無理だ…ヒック(T_T)」
再び､目からポロポロと涙が出てきて泣き出す龍｡
可哀想に…世の中には､辛く生きている人間もいるんだ｡
俺は平凡で存在は薄いし､クラスメイト達からいじられているけど…｡
松尾「…矢花くん?」
矢花「龍…君は､醜くなんかない」
いつの間にか､座り込んで泣いている龍を抱きしめていたんだ…｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年9月15日 11時
