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松尾サイド

松尾「あっ、ごめんなさい…(´・д・`)。自分で…取るから」

金指「いや…俺こそ、ごめん(´・д・`)」

どうしたんだろう…拒絶してしまうなんて。

過去にお兄ちゃん達にいじめられたり、近所の人達に辛く当たられたりされたから?

それもそうだけど、他人に触れられてほしくないから?

金指「大丈夫!?何で泣いているの!?」

松尾「えっ…」

金指「中断しよっか?何か辛い事を思い出した?」

松尾「だ、大丈夫…続けて」

あぁ、俺…いつの間に涙が出ていたのね。

辛い事を思い出した…それもそう。

でも、金指くんには俺に触れてほしくない。他の誰だって。

松尾「(俺に触れていいのはバナさんだけだよ…)」

そう想う中、金指くんはキャンバスに色をつけていった…。


それから約30分後。

金指「お疲れ様。着替えていいよ」

やっと終わったぁ…!ずっと、同じポーズしたままだったから体が硬くなって、動きづらい…(^_^;)。

私服に着替えていると、金指くんが「後でリビングに来て」とアトリエを後にした。

松尾「(これが俺…?)」

金指くんが描いた絵を覗くと、あまりの上手さに呆然とした。

全体が海辺で、上半身が人で下半身が魚の尾びれ…あーっ、思い出せない(>_<)!

そのモデルにした俺が、岩の上に座って海を眺めている絵。

綺麗だなぁ…。

っていうか彼、こんなのばかり描いてるんだろ?

疑問に思いながらも、アトリエを出て階段を下りていった。

金指「あっ、来た来た。ホットココア、淹れたけど飲む?」

松尾「あ、ありがとう…」

リビングに来ると、金指くんが飲み物を作って待っていてくれたみたい。

俺はソファーに座ると、ホットココアを一口、飲む。

松尾「(温かい…)」

金指「…ごめん。急に絵のモデルになってほしいって頼んで」

松尾「どーゆー事?(・・?)」

金指「アトリエに置いてあった人魚の絵、見たでしょ。俺、子供の頃に港町の海で人魚を見てから、虜になってしまって…」

急にアトリエに置いてあった絵の事を話し始めた金指くん。

あっ、あれは人魚って言うのね…。

金指「俺が人魚を見たって友達に言っても、嘘つき呼ばわりされて。お父さんとお母さんには、きっと夢でも見たんだと言われて。でも、俺は確かに見たの。イルカみたいにジャンプして、海に潜った2匹の人魚…」

金指くんは唇を噛んでから、ココアを一口、飲んだ。

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作者名:セーラーローズ | 作成日時:2023年9月15日 11時

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