6-3 ページ34
松尾サイド
金指くんが描き始めてから数分後｡
静寂な空気から一転､キャンバスを見ながら彼が口を開いた｡
金指「龍､お互いに身の上話をしようよ」
松尾「へっ(・_・;)!?」
こんなタイミングで!?
金指「俺はモデルになった人に､絵を描きながら色んな会話をしてコミュニケーションをとっているの｡龍の事､知りたいし」
松尾「…」
金指「じゃあ､俺の身の上の話をしよっか｡さっきも言ったけど､このアトリエは元々はうちの両親が使っていた｡お父さんが画家でお母さんが陶芸家だったかな｡俺も絵を描く事が好きだから､大きくなったら使っていいよって｡でも､2人とも事故で亡くなって…(´・д・｀)」
松尾「事故…」
金指「うん…相手があおり運転をしてきて､事故を起こしたんだ｡その時は2人は､芸術のイベントの帰りだった｡俺は叔母さんと家で留守番していたからね…」
松尾「そう…今は一人で暮らしているの?」
金指「1ヶ月に数回､事前に連絡が来る形で叔母さんが家に来てくれるんだ｡今はあの人が親代わりかな｡街の図書館で働いているの」
松尾「へぇ…」
そうだ､彼にも聞いてみよう｡
松尾「1つ､聞いてもいい?」
金指「なぁに?」
松尾「金指くんは将来の夢､あるの?」
すると､「うーん…」と唸りながら鉛筆を走らせている｡
金指「お父さんと同じ画家か､イラストレーターかな…」
分かる気がする｡あんなに楽しそうに描いているんだもん｡
モデルの俺を見ていて､生き生きとしているように見えるもの｡
そうだ､もう1つ聞きたい事が…｡
金指「さぁ､次は君の番だよ」
松尾「あっ…」
バナさん以外に､身の上の事を話すのは初めてだ｡
あんまり話したくないけど､彼のルールには従わないとね…(´・Д・｀)｡
松尾「俺は…」
その頃､矢花は…｡
矢花サイド
矢花「ここが浮所くんの家か…」
和田「デ､デカイな…(^_^;)」
午前授業が終わった放課後｡
俺と和田くん､川��くんはクリーム色の大きな四角い建物の前に立っていた｡
ここにやって来たのは､病気で自宅で療養している浮所くんのお母さんのお見舞い｡
川��くんの手には､俺達が割り勘で購入した焼き菓子の紙袋を持っている｡
皇輝「じゃあ､鳴らすよ?」
俺と和田くんが頷くと､川��くんがピンポーン♪とインターホンを鳴らした｡
浮所の母『はい､どちら様ですか?』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年9月15日 11時
