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矢花サイド
コンコンコン(ノックの音)｡
矢花「はい…?」
松尾『バナさん､具合はいかが?』
ノックの音がしたので､返事すると龍が聞いてきたので､
俺は「何とかね…」と風邪声で答えた｡
うん…?扉から甘い匂いが…｡
矢花「ねぇ…何か甘い匂いがするんだけど…」
松尾『浮所くんがホットチョコレートを作ったんだって』
浮所くんが…?
浮所『矢花くん｡勝手に冷蔵庫の中を使ってしまって､ごめんね(^_^;)?でも､彼は料理が苦手だったみたいだから…』
矢花「いや…気にしてないよ｡あのチョコ､龍と食べようと思ったヤツだけど､また買えばいいし」
松尾『バナさん…』
矢花「あっ､入ってきていいよ」
扉が開いて､龍とホットチョコレートを持った浮所くんが入ってきた｡
浮所くんが「気をつけて」とホットチョコレートを渡し､
俺は「ありがとう」と受け取り､マスクをずらして一口､飲んだ｡
暖かくて､体がポカポカになる…｡
浮所「どう…?」
矢花「美味しい…風邪が吹っ飛んで治りそうな気がするよ｡ありがとね､浮所くん(^^)」
浮所「どういたしまして(^^)」
クラスメイトの浮所飛貴くんは川��くんと同様にトップ3に入る程､成績優秀｡
バイオリンが得意で数ヵ月前までは天才バイオリニストとして､
テレビやイベントに出演していたんだけど､現在は活動を休止している｡
理由は学業に専念するためだと､ネットやテレビでのエンタメニュースで報じられた｡
矢花「浮所くん､疲れてない?活動を休んでから､バイトし始めたし」
浮所「ううん｡心配してくれて､ありがとう｡だけど､母さんの治療費を稼がないといけないから」
松尾「どーゆー事?じゃあ､バイオリニストを休んだのは学業専念だけじゃないって事?(・・?)」
浮所「そうなるかな｡母さんは病気を患って家で療養していて､バイトしている俺とテレビ局の仕事をしている父さんで頑張ってるよ｡まぁ､まだ完治はしていないけど､一緒に食事するようになった程に良くなってきているかな…」
矢花「そっか…」
風邪が治ったら､浮所くんの家に行ってお母さんのお見舞いに行ってあげよう｡
松尾「ねぇ､浮所くんがバイオリン弾いてる所､見てみたいし聴きたいな｡いつ､復帰するの?」
浮所「復帰するつもりはないよ」
矢花&松尾「えっ?(・・?)」
浮所「俺､バイオリニストじゃなくて弁護士になろうと思ってるよ｡だから今､学業とバイトと一緒に弁護士の勉強もしている」
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年9月15日 11時
