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松尾サイド
子供の頃に都内の小さな町で暮らしていた頃は､
お兄ちゃんや近所の人達からキツく当たられていたけど…｡
家の隣に住んでいたおばさんは､親切な人だった｡
その人はあまり足が良くないようで､車椅子で生活していて､
よく娘さんがおばさんの代わりに買い物に行ったりしていたんだ｡
車椅子で散歩する事はあるけれど､娘さんが危ないからと､
近くしか散歩できなくて､ヘアサロンに髪を切りにも行けなかった｡
可哀想に思った俺は毎日のように町のヘアサロンを覗いて､
美容師さんのヘアカットやヘアアレンジをしているのを見たんだ｡
ある日､その様子を見た美容師の男性が俺に気がついて「興味あるなら､やってみる?」と､
小学校の放課後にマネキンのウィッグでやらせてもらって､徐々に上手くなっていって…｡
ある日､美容師さんに車椅子のおばさんの事を話すと､
車椅子のおばさんは昔､ヘアサロンの常連だということが分かった｡
そこで､俺はおばさんの家に行って､
おばさんの髪をカットしてあげる事にしたの｡
おばさんは凄く喜んでくれて､娘さんも感動してくれた｡
娘さんも親切で､俺に優しく接してくれたから嬉しかったな(^-^)｡
松尾「それから､髪が伸びてきた時は娘さんから頼まれて､カットしに行くようになったんだ(^^)」
チョキチョキと､バナさんの髪を切りながら､
子供の頃の事を話していた｡
矢花「龍にとって､おばさんの家に行く日は安心する日常だったんだね」
松尾「うん､娘さんのヘアアレンジをした事もあって｡要望に答えながら､やっていったら上手くできたよ｡娘さんも喜んでくれた｡そしたら､おばさんが『もう､ここは『たつるサロン』ね』って(^-^)」
矢花「あー､それが由来なのね」
松尾「そう｡おばさんの髪をカットしたり､娘さんのヘアアレンジをしたりする度に､お菓子や果物を貰ったよ(^-^)」
矢花「お兄さん達に取られたりしなかった…(´・_・`)?」
松尾「お母さんには､おばさんの家に行くって前もって話した｡お母さんも､おばさんの娘さんから話を聞いていたからね｡だから､お兄ちゃん達には『龍が働いて貰った物だから､取っちゃダメよ』って注意していたよ(^_^;)」
お母さんのお陰で､流石のお兄ちゃん達も何も言えず､
俺からお菓子や果物を奪うことは無かった｡
松尾「終わったよ｡いかが(^^)?」
カットを終えて､バナさんに手鏡を渡した｡
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作者名：セーラーローズ | 作成日時：2023年9月15日 11時
