ヤバい奴しか居ないこの世界で

・ ページ44

そして私は、真実を隠すために
今の世界状況を把握することにした。

一応右往左往していた設定だから、
少しは知っておかないと。



北斗に直接は聞けないので、
ニュースから情報を集めた。







数ヶ月前、
セタガヤであるウイルスが発生。




そのウイルスは新型のもので、

感染した人は身体が腐り、
家畜では飽き足らず、人間までも食す暴食な化け物、


所謂ゾンビと言うものになる。



彼等を仕留めるには頭を狙う必要がある。
それ以外を攻撃しても意味が無い。



特効薬はまだ見つかっていなくて、
噛まれたり、引っ掻かれたりした場合の感染率は100%。




それからどんどん拡大していき、
隣のスギナミ、メグロは勿論、
現在はネリマまで広がっている。


他の区はすぐにバリケードを作って、
一日一日を凌いでいるらしい。





今分かる情報はこれくらい。


本当にホラー映画の世界みたい。



きょもの家に居たとき、
爆発音や銃声音が聞こえてきたのは、
これが原因だったのか。




今でこそ噛まれたり引っ掻かれたりして
感染しているみたいだけど、

一番最初の人は
どうやって感染したんだろう。


何かの外来種からとか？
空気感染ではなさそうだし。










樹「お〜いA〜！！」



院内の共有スペースで一人考えていれば、
樹に大声で呼ばれる。


その手にはウノ。



A「え何？ウノしよーってお誘い？」



樹「えっ！？何で分かったの！？まさにそうだべ！それを言おうとしてたの！」



A「おーけー北斗達も誘おう。」



樹「みんなもう集まってる！俺の部屋！」



A「私が最後だったのね。」



樹に手を引かれ、部屋へと向かう。



その際に、
少しだけビクッと体が反応したが、
樹は気付いていないよう。





頭では大丈夫になっても、
身体はやっぱり覚えているもんなんだな。

樹の骨ばった細い手や低い声。
今でも昨日のことのように思い出せる。




駄目駄目。

今生の樹はあの時の樹じゃないんだから、
そんな態度をとったら傷付く筈だ。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す