ヤバい奴しか居ないこの世界で

有り得たかもしれない未来 ページ41

「…………村さん。……松村さん。松村さーん。聞こえますか？」













え誰。







目を開けて一番に思ったことだった。



「嗚呼良かった。意識が戻って。」



A「………？」



「ちょっと待っててね。今弟さん呼んでくるから。」



ー弟って北斗？
そう尋ねることも出来ず、

女性はしっかり私と目を合わせてから
スタスタとどこかへ行ってしまった。



キョロキョロと辺りを見回せば
一面真っ白だった。

白いけど、ここはきょもの家じゃない。
さっきの女性の服装から病院かな。




視界の端で見える医療道具。

腕には点滴の管が何本か刺さっており、
呼吸器までつけられていた。


私そんな酷い状態なの？
どこか痛いわけでも、苦しいわけでもない。

少し体が重くて
起き上がる気力が無いくらい。





何で私こんなところに居るんだろう。




起きた直後だからか、
ここに来るまでの記憶が曖昧だ。


「とりあえず情報を収集しないと」
そう思って寝た状態のまま近くにあるテレビを見た。


画面の向こうでは、
報道員がヘリに乗りながら実況している。



「これは悲劇と呼ぶべき出来事です。ご覧下さい。セタガヤはもう感染者でいっぱいです。」




何あれ。




「数ヶ月前から発生したウイルスですが、未だ特効薬は見つかっておらず、噛まれたり、引っ掻かれた場合の感染率は100%のようです。」




何あれ。




テレビに映るのは血色が悪く、
体の至るところに血が付着している人々。




映画やドラマの中で見る、ゾンビだった。






私もしかして、また繰り返してる？







7回目の人生はこんなゾンビの世界なの？

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