ヤバい奴しか居ないこの世界で

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A「バイトは？副業大丈夫なの？」



ジェシー「もう辞めたよ！元々収入が無いときにちょっとするくらいだしね！」



聞けばジェシーくんは
駆け出しのミュージカル俳優らしく、
ドラマは今回が初めてだと。





このドラマは三組の男女がメイン。




JK×イケおじ
OL×ヤンキー
看護婦×刑事




それぞれの恋愛模様を
描いていくストーリー。


私はヤンキーくんとのカップリング。

俳優さんは新人時代から
仲良くさせて貰っている人だし、
特に問題は無かったんだけど、

ジェシーくんとペアの新人女優さんが羨ましすぎる。




どっちもドラマ初めてだから
初々しい感じが演技に出ててめっちゃ良い。

作品の中でもだんだんと
恋に発展していく感じが堪らない。


それと同時に、
ジェシーくんの初ドラマの相手役は私が良かったと思った。











"相手役が私だったら良かったのに"











不謹慎かもしれないが、
あの赤いファンレターの気持ちが分からなくもなかった。



それからはジェシーくんの演技を
見ることが出来なくなって、

ご飯を誘われても何かと理由をつけて断った。





ジェシーどうしたの?
俺なんかした?




と言うジェシーくんに
何度も罪悪感を抱いた。

いや本当申し訳ない。
私の問題なのにジェシーくんを傷付けてる。




でも割り切らなければいけない。

この業界でやっていくには
スキャンダルとかあまり撮られたくないし、
そうやって初恋も捨ててきた。





"仕事"なんだから仕方ない。







「あ、ジェシーと仲良かったお客さん。」



仕事帰りに、物件情報掲載誌を貰って
とぼとぼ帰路に着いていると、
あのカフェの店長さんに会った。

毎回変装して行っていたのに
まさかの顔を覚えられていたとは。



「丁度良かった。これアイツに渡してくんない？多分プライベート用だから。」



と言われながら
グイッと押し付けられた紙袋の中を
覗いてみれば、赤いスマホが入っていた。

なるほど。"知ってる人"なのか。




私は自分がジェシーくんを
避けていることも忘れて普通に了承してしまった。

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