prince ページ8
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駅まで歩く道は、混んでも空いてもなく、程よく人がいた。
『……』
隣の優太をチラッと見ると、いつもと同じように、前を向いて歩いていた。
…きっと、こんなことも、今日で最後。
そう思うと、優太に伝えたいことが、溢れてくる。
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『…優太、ありがとう』
優太「ん、何が?」
優太は、私より10�僂曚氷發い�ら、
私は上を向いて、優太は下を向く。
『私、優太と出会って、学校って楽しいって思えたんだ』
『あの時、筆箱取って来てくれて、ありがとう』
そう言うと、優太は笑った。
優太「…めっちゃ昔のことだな。うん、どーいたしまして」
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優太と過ごした日々。
本当に楽しかった。私はいつも笑ってた。
れいなと、優太の意味のわからない話を聞くのも、好きだった。
もちろん、これで一生かかわらなくなるわけじゃないけど、
今まで通りにいくわけでもない。
私は、それを承知で今日を迎えたのに、
寂しさは、どうしたって消えないで、居座り続けている。
私、優太にずっとよりかかってたんだ__________
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優太「じゃあ、また月曜日」
『ありがとう。…うん』
どこまでも優しくて、こんな時でも家まで送ってくれる。
優太は、すっごくたくましい。
優太が背を向け、再び駅に向かう。
『……』
『…あのさ!』
少しずつ遠ざかる、優太に聞こえるよう、声を出した。
優太「……?」
『あの時、…筆箱取ってくれた時、』
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『どうして私の席、わかったの…?』
私の席も、筆箱も。
あまりにすんなりと持ってきたことを、ずっと不思議に思っていた。
優太「……はは、」
優太「んなの、決まってんじゃん」
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優太「好きだったから」
梅雨の湿った風が、通り抜けた。
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作者名：ティパ二
| 作成日時：2019年6月23日 23時
