prince ページ5
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『……』
優太「……」
こんなことは、まるで予想してなかった。
何も、言葉が出ない。
このテーブルだけ、空間が切り取られたように、静寂だった。
優太「…へへ、びっくりした?」
微笑みながら、優太は聞く。
『うん、ちょっと…』
優太「だよな。俺も言うつもりなかったからさ」
『え、?』
じゃあ、どうして__________?
優太「わかんねぇ。なんか、好きだって言いたくなったからかな」
言いたくなったから、なんて、理由になってないけど、
優太の真っ直ぐな言葉が、嬉しかった。
優太「俺と一緒にいて、幸せって思ってくれて、それが俺には幸せで。ほんとはハグしたいくらいっ」
まあ、それは置いといて、なんて言いながらも、
顔がひきつる優太は、きっと緊張している。
優太「…ずっと、好きでした」
『……うん』
胸が苦しくなる。
初めて話した、あの日を鮮明に思い出す。
私を、普通のクラスメイトとして見てくれて、仲良くしてくれた優太。
優太の笑顔が、私は大好き。
最近は、しばらく見ていない気がする。
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優太「でも、」
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優太「Aとは付き合わない」
優太「俺は、身を引くよ」
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『……』
優太は今、どこをどう見ても、ふざけてなんかない。
でも、優太の言っていることが、よくわからなかった。
『…身を引くって、どういうこと?』
優太「そのまんま。諦めるってこと」
…まるで、
『……わからないよ』
身を引くって、イコールもう1人誰かがいるから。
私を想う誰かさんのために、身を引くと言っているように聞こえる。
優太「…Aは、ずっと見てたよ」
『え…?』
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優太「ずっと、永瀬廉だけを見ていたんだよ」
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作者名:ティパ二 | 作成日時:2019年6月23日 23時