destiny ページ34
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『……』
耳元に響くそれが、
何を物語っているのか、すぐにわかった。
『……はは、』
私はひょろひょろと崩れ落ち、力なく床に座る。
廉は心配そうに、一緒になってしゃがんだ。
でも、どうすればいいのかわからなくて、
綺麗な手は、宙を彷徨っていた。
『そういう、こと…』
そっか。
物理的に、大丈夫じゃないんだ。
なんだかもう、放心状態。
……永遠とか、考えちゃってたのかなぁ…。
『…いつから、決まってたの』
そう聞くと、バツの悪そうな顔をする廉。
彷徨っていた手も、自分の太ももに落ち着いた。
「……」
「こっちに、…東京に戻る時から」
『え…?』
「…3年間だけ、お願いした」
「Aに会いたくて」
『わ、たしに…』
太ももに落ち着いていた手は、
ゆっくりと、私の頬を包んだ。
「A、」
目を大きく見開いている私に、顔を近づけ、
優しいのに、深いキスをくれた。
「…ありがとう」
「高校生活っちゅう、大切な3年間を、俺にくれて」
「んで、ごめん」
「タイムリミット、あんのわかっとったのに、言わへんかった。…言ったら、」
「やっぱりAには届かなそうやったから」
『……』
さっき、さんざん泣いたのにさあ…。
涙は、いつになったら、止まることを覚えるの?
「はは、泣き虫Aちゃんか」
ねえ、それは、
廉もだよ。
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作者名:ティパ二 | 作成日時:2019年6月23日 23時