destiny ページ33
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「……」
そんな私とは正反対。
ずっと黙って、私にされるがまま。
ううん。
…正反対ではないかもしれない。
辛そうなのは、廉も同じだった。
『…なんか、言ってよ……』
廉の、薄そうな、でもやっぱり固い胸板を、
音が出ないくらいに、情けなく叩いた。
『…私のこと、好きじゃん』
『大好きじゃん！』
1日1回、
「好きだよ」
って言ってくれたから、
私は、自分のことが好きになれたんだ。
廉のおかげなんだよ。
『行きたいとこ、全部連れてってくれて、』
初めて、浴衣で花火を観た。
「ほんまかわええ」
って、浴衣が着崩れないように、
優しく抱きしめてくれたよね。
『喧嘩も、悪くないって思えたし』
喧嘩したら、ちゃんと話し合う。
たまに感情的になることもあったけど、
「ごめんな」
そう言って、いつも大きな手で頭を撫でてくれた。
『…誰かといることが、』
『こんなに楽しくて、幸せなんだって、』
『廉と出会って、気づけたの！』
だから、お願い。
『…だから、』
『廉が…きゃ！』
いないなんて、無理なんだよ
って伝える前に、
「…やめろよっ……」
さっきと同じくらい、強く、優しく、
抱きしめられていた。
「…好きに決まっとるわずっと」
聞きたかった、その言葉。
『…れんっ、……』
やっぱり、私たちは大丈夫。
そう、確信しかけた。
「…あんな、」
「………」
「俺、大阪行くんや」
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作者名：ティパ二
| 作成日時：2019年6月23日 23時
