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destiny ページ30
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『…どうして、こんなことしたの?』
1番聞きたかったこと、もう聞いちゃった。
「……とりあえず、」
「中、入って」
廉は、私を諭すように言う。
『……』
『………』
「⁇…寒いやろ、」
ドアの前で動かない私の手を、廉はいつもより強めに掴んだ。
「……おい、」
「怒ってんのか」
それでも頑なに入らない私に、今度は、呆れたような顔。
ゆっくりと、手が離れた。
怒ってなんか、ないよ。
『……怖い』
『優太に頭下げてまで、なにがしたかったの…?』
わからない。
せっかくの門出の日に、
どうしてそんなに寂しそうなの?
『手紙、書きながら泣いてたの…?』
涙の跡は、なかなか消えないんだよ。
廉は、何を背負っているの__________?
「……」
「Aを想う時間が、欲しかった」
その言葉で、私の強張る力が抜けた。
「でもな、」
廉は見逃さず、私の手をもう一度、
今度は優しく、握った。
「1時間じゃ、足らへんかったわ」
「だから、お願い」
こっちへ来て
まるでそう言われたかのように、私の体は廉へと引き寄せられた。
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作者名：ティパ二
| 作成日時：2019年6月23日 23時
