destiny ページ28
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Aへ
卒業おめでとう。
俺じゃなくて、おさるでごめんな。
そのお詫びといっちゃなんやけど、
おれんちに来てくれ。
国宝級イケメンより
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『………』
『は……?』
手紙には、たった四行。
しかも、内容がうすっぺらい。
優太「え、なに、なんて書いてあんの?」
『…よくわからない』
優太も、内容が気になるよう。
ただ、本当に説明ができないから、見せた。
優太「…よくわかんねーな!」
『だよね。…ほんっとわかんない、』
『……よくわからないけど、』
『すっごい、廉らしい』
この、掴めない感じが、言葉の拙い感じが、
廉以外の、何物でもなくて。
優太「…ふーん、あいつらしいんだ」
『おれんち、…行ってくるね』
見上げると、優太は、
優太「…おっけい」
優しく、笑っていた。
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あっ。
私は走っていた足を止めて、教室に引き返す。
『優太!』
優太「え⁉…なに?」
『手紙、届けてくれて、ありがとう』
それだけを伝えて、私はまた走り出した。
涙の跡が染みになった、それを握りしめて。
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優太「…こりゃあ、またやられた」
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作者名:ティパ二 | 作成日時:2019年6月23日 23時