king ページ19
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れいな「ちょっとー‼どういうことよさっきのは⁉」
『わっ…!』
昼休みのチャイムが鳴り、恐る恐る教室に戻ると、
すごい形相で近づいてくるれいなに、圧巻される。
れいな「この時間までどこにいたの⁉てか、永瀬くんといつのまに知り合いになったの!」
『え、えっと…』
れいなから目を外し、チラッと教室の様子を伺うと、
れいなが大声でそんなこと言うもんだから、みんなが注目していて。
『……』
驚いた顔、
睨む顔、
軽蔑した顔、
不安な顔、
面白がっている顔。
みんながそれぞれ、いろんな目で私を見ていた。
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『………』
どう、しよう。
廉が、普通に暮らせなくなるって言ってた意味がわかって、さらに焦る。
『れいな、あの…「A」
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『っ……、』
すっごく、安心する声だった。
それは、れいなの先に、優しく笑って立っている。
優太「…A、今日遅すぎね?」
『ゆう、た…』
優太「ん?どした?てか、腹減ったべ、山川も早く食べようぜ」
れいな「あのねっ…!」
れいなが優太に視線を移す。
れいな「………」
れいな「…うん。私もお腹すいた。A、食べよ」
そしてまた、私の方に体の向きを変えて言った。
『あ、うんっ』
れいなが自分の席に向かったため、私も自分の席に着き、手こずりながらお弁当を取り出した。
優太「俺昨日、エレベーターのドアに挟まったんだよ」
れいな「どうしたらそうなるのよ」
優太「俺のこと感知しなかったんじゃね?事件だわ」
3人でご飯を食べる、いつもの昼休み。
優太が変なこと言って、私とれいなが笑って。
何気ないこの時間が、学校での1番の楽しみで。
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素直に生きること。
一見、良いことのように思えるけど、難しいし、わがままだとも捉えられる。
そしてそれは、ずっと私が避けていたものでもある。
でも、
伝えたからこそ、心から私は、
彼らを大好きだと言える。
平凡に見えて、実はとても幸せな日々であると、
気づくのに時間はかからなかった。
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作者名:ティパ二 | 作成日時:2019年6月23日 23時