検索窓
今日:19 hit、昨日:12 hit、合計:108,735 hit

king ページ13

.





“……”


『って、え…!』


恥ずかしくて、口に手を当てる。


私、何言ってるんだろう…!






“そうなんだ、知らなかったー…”




“はは、その人が羨ましいなぁ”


でも山田くんは、ただ笑って、遠い目をしていた。


『……』



…あれ




“…ん、どしたの?”


突然固まった私を、心配そうに伺う。




『あっ、…あんまり、普通だったから』



てっきり、びっくりされるかと思ったから。

こんなことさらっと言うなんて、引かれるかななんて、思ったから。






Aちゃんにも好きな人とかいるんだ



なんて言われる覚悟はできていた。





“え、いやもちろん、びっくりだよ。でも、好きな人くらいいてもおかしくないし、…なんかちょっと、”







“親近感湧いたよ?”


綺麗な顔を、崩さずに笑みを浮かべる。

こんな大雨の中でも、一点だけが輝いて見えた。





『私は、…こんなことポロっと言っちゃって、なんかちょっと…、』







“……”









“なんで?いいことじゃん!”



『えっ……?』


山田くんは、むしろこっちにびっくりしてるようだった。






“思いを言葉にできるって、素敵だと思う。相手にも伝わるしさ”





“てか、告白ってまさにそうじゃない?俺、何回こんなことしてるのよ”



『……』





“伝えちゃえ、Aちゃんも”



そう言って、私に自分のハンカチを渡し、そばの信号を渡っていった。




たまに廊下で見かける、男らしい背中が、少し曲がっているように感じた。






.







『伝えちゃえ…』





保育園に着くと、


待ちくたびれた様子のひろが、抱きついてきた。





…これも、一種の“伝える”ってことなのかな、なんて考えた。







.

king→←king



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (311 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
657人がお気に入り
設定タグ:永瀬廉 , 岸優太 , king&prince
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ティパ二 | 作成日時:2019年6月23日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。