destiny ページ23
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私たちは、ひろからほんの、ほんの少し離れたところに移動する。
廉は、自分からひろが見える向きに立った。
すると自然に私は、ひろが見えない位置に来る。
「弟くん、似とる」
『え…?』
「…目が、Aに似とるな」
遠い目をしながら、そう呟く。
優しい顔だった＿＿＿＿＿＿＿
『……』
そんな廉に、なんて返せばいいのか、思いつかなかった。
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「俺、帰ってきたよ」
ひろから、私に視線を戻して言う。
この前までの、嫌味を含んだ言い方ではなかった。
『…そう』
＿＿＿＿＿＿＿知ってるよ、そんなこと。
高1の春、入学式で。
忘れもしない。一目見ただけで気づいた自分に腹が立ったことを。
「…何も、ないの?」
『えっ…』
「帰ってきた俺に対して、Aはなにも思わんかった…?」
とても、切ない声だった。
『……』
「1年の時、お前は俺を避けて避けて避けて、…まるで空気のように扱ったよな?まあ今もやけど」
そう。
廊下ですれ違っても、ふと目が合っても、クラス合同授業でも、
決して、廉に触れることはなかった。
意識から外して、無関心の域に廉を置いた。
「高圧的な態度とってみても、注目浴びるようなことしても、なーんにも変わらへん。むしろ冷静で」
…変わったよ。変わらないようにしたかったよ。
胸が苦しくて、辛かったよ。
「…Aは、もうおしまいにしたんやろ。勝手に、1人で」
“勝手に、1人で”
勝手に?1人で?
その瞬間、私の中で何かが鳴った。
.
『…ねえ、廉』
今度は私が、廉を捉える。
これって、おかしいよね?
『廉は、私を置いて行くことに、……なにも思わなかったの…?』
『辛いのは、全部私のせいなの…?』
どうして、私だけ＿＿＿＿＿＿＿
.
…何言ってんだろ。
『…あぁ、そっか』
そんなの、当たり前じゃん。
辛いのは、私のせい。
だって、
『…ただ、遊んでただけだもんね、私で』
自分って、こんなにも低くて冷たい声が出るんだ＿＿＿＿＿＿＿
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ティパ二(プロフ) - 有姫さん» ありがとうございます！3回も！作者はとても幸せです泣頑張ります！ (2019年6月17日 0時) (
レス) id: 431cc30fd2 (このIDを非表示/違反報告)
有姫(プロフ) - 最初っからもう3回も読んじゃいました！めっちゃ好きです！なんか涙出てきます！これからも更新楽しみにしてます！ (2019年6月16日 15時) (レス) id: 2062434e73 (このIDを非表示/違反報告)
ティパ二(プロフ) - コキンちゃんさん» えー！めちゃ嬉しいです！これからもご愛読ください！ (2019年6月9日 0時) (レス) id: 431cc30fd2 (このIDを非表示/違反報告)
コキンちゃん - めちゃめちゃ好きです！ (2019年6月8日 22時) (レス) id: 53d29c3657 (このIDを非表示/違反報告)
ティパ二(プロフ) - あんぱんまんさん» ありがとうございます！なるべく良いペースで更新できるよう頑張りますっ！ (2019年6月3日 19時) (レス) id: 431cc30fd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ティパ二
| 作成日時：2019年5月29日 16時
