お兄ちゃん、いかないで【鬼滅の刃】

22話 ページ22

A「だけどダメだった。
誰にも、お兄ちゃんの不満は取り除けないんだね。」


獪岳「…だまれ」


A「それでも大好きだよ、お兄ちゃん。」


獪岳「だまれっつってんだろ！！」


ちゃぶ台を挟んだ向こう側のAの首を掴む

手をついたちゃぶ台は今にも壊れそうだ。



獪岳「お前に何がわかんだよ。あァ？
爺は俺を認めなかった！死んで当然なんだよ！！
お前は生かしておこうと思ったが気が変わった
殺してやるよ。
血鬼術…」


妹の細い首は、血鬼術を使わずとも簡単にへし折れそうだった。

だけど痛みを伴うように殺そうと思った。


妹の頬に伝う涙に気づくまでは。


A「…お兄ちゃん、かわい…そう」


獪岳「あァ！！？」


A「ずっと不満で、満たされなくて…
気づかないの、お兄ちゃんのこと大好きな人が…こんなに、身近に…何人もいた、のに…
誰にも…お兄ちゃんの心は…満たせないの…？
たすけ、たいのに…わたし、本当に何もできない…
ダメな子で…ごめん、なさい…ごめ…」


酸欠で意識を失った妹は、それでも儚く美しかった。


頬に伝う涙を乱暴に拭ってやり、布団を敷いてそこに寝かせた。


もう後戻りはできない。

無惨様は俺を認めてくださった。

爺とは違う。


半刻ほど妹の寝顔を眺めて立ち上がる。


もうここには戻らない。

無惨様にもっと血を頂けるように、戦おう




A「…ん、ぅ…おにい、ちゃん……いかない、で…いかないで…ごめ、なさ…」







起きたのかと思ったがどうやら寝言のようだ。







A「…ひとり…に、しない…で……」







獪岳「……じゃあな、A。
…好きだよ。幸せになれ。」

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