14話 ページ14
善逸君が鬼殺隊に入ってずいぶんと月日がたった。
私はいつものように先生と慎ましく暮らしている。
洗濯物を取り込み、居間でたたもうと縁側に上がると、先生は先ほど届いた手紙を見ながらいつになく厳しい雰囲気を纏っている。
A「…先生?どうかしたんですか…?」
こんなに怖い先生を初めてみた。
すごく怒ってる。
先生は背を向けたままゆっくりと、低い声で話し出した。
慈悟郎「……… 獪岳が、鬼に、なったそうじゃ。」
一瞬、意味がわからなかった。
鬼になったって、鬼殺隊なのに?
なんで?どうして。
慈悟郎「……一生の恥じゃ。儂は、腹を切る。」
A「え、せ、先生、待ってください!そんな…」
一気に血の気が引いた。
動機がして、手足が震える。
先生は本気だ。
ゆっくりと立ち上がり、自分の部屋へ引っ込んだ。
私はへなへなと座りこみ、荒くなる呼吸を鎮めようとした。
遠くからゴロゴロと雷の音がする。
先生は夕刻から雨が降ると言っていた。
だからいつもより早めに洗濯物を取り込んだ。
このお天気は先生の気持ちを表しているみたいで、すごく悲しくなった。
泣きそうになっていると、先生が白装束に着替えて居間に戻り、私の前に正座した。
A「先生、いやです…わたし…」
慈悟郎「よく聞きなさいA。
儂は、お前にこの先もこの屋敷と桃園を守ってほしいと考えている。
善逸が引退してこの屋敷に戻ったら、慎ましく共に暮らしなさい。
そして、もうお前に兄はいない。
あいつは鬼殺の掟まで破り、儂らを裏切った。
人道を捨て、畜生に成り下がり、人を食らったんじゃ。
これも全て、儂の不甲斐なさ故。」
まっすぐと私を見つめて先生は話す。
本当に突然で、私は頭が追いつかない。
A「先生、ごめんなさい…私、頭がわるくって…
でも、お兄ちゃん、私のことずっと助けてくれたの…
先生のことだって、すごく尊敬して…だから、だから…」
慈悟郎「けじめはつけなければならん。
そういう世界じゃ。獪岳は、腐っても儂の弟子。
いつまでも師匠は弟子の面倒を見る。
尻拭いだって、よろこんでやるんじゃ。
お前は優しいからの…それに実の兄じゃ。
辛いかもしれんが、やつは善逸が必ず切る。
儂はそれを信じとる。
お前も、鬼殺の剣士の妹であり、今後嫁になるのなら、受け入れなさい。」
私は言葉がでなかった。
大好きな先生は、私に微笑んで出かけていった。
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pocky - 面白い!とっても素敵な作品ですね!! (2020年6月29日 22時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 読んでる時の感想→「え?え?なんで優しいお兄ちゃんの獪岳が私(夢主)殴ってるの!?作者さん嫌い…いや嘘だけどさ、本当は大好き!!でもどうしてこうなった?あ、最後の獪岳の言葉身に染みる」って感じでうるさかったです…素晴らしいですね(さっきの言葉どうした) (2020年3月23日 2時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE(プロフ) - 最後の獪岳の一言で私の涙腺が崩壊した。 (2020年2月24日 23時) (レス) id: 3871cda528 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - めっちゃ面白いえ、本当に面白いんだけど!( ゚ロ゚) (2020年2月20日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが見たいです!!! (2020年2月18日 12時) (レス) id: 35ab4fcffb (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月16日 2時