3話 ページ3
Aに水を飲ませて手のひらを出すように言った
獪岳「ほら、お星様のお菓子だぞ。
とっても甘くておいしいやつだ。」
A「わぁ〜きれーい!あまいの?」
頷くとAはパクッと一粒口に入れた。
その瞬間パァッと目を輝かせて喜んでいた。
その光景を笑いながら見ていると、影がさした。
「盗んだモン妹に食わせてんのか」
獪岳「……誰だ。あの店のやつか。」
Aの前に立って背の低い爺と顔を合わせる。
こんなやつなら、妹抱えて脇をすり抜けられる。
「お前、剣士にならんか」
Aを抱き上げた瞬間のことだった。
剣士?なんのことだ。いきなり。
「儂は剣士を育てたい!お前は見込みがある!
妹もろとも面倒みてやる!その金平糖の代金も払っておいた!どうじゃ!」
獪岳「……」
「まあ来い!儂は桑島慈悟郎と言っての、町の外れに屋敷をかまえとる!そうじゃ、桃も育てておっての、うまいぞー儂の桃は!」
A「もも?ももってなあに?」
慈悟郎「ん!?桃も知らんのか!とってもあまーい果物じゃ!金平糖よりもあまいぞー!」
A「わぁ〜ほんとう?たべたいなあ〜」
強引に引っ張られて爺の屋敷につき、その奥にある立派な桃園につれてこられた。
桃の甘い香りに包まれてなんだか温かい気持ちになる。
慈悟郎「ほれ、食ってみろ!」
大きな桃を2つもぎとり手渡してきた。
Aはいただきまーす!と言って座り込み、桃にかぶりつく。
A「おいしーい!」
慈悟郎「そうじゃろそうじゃろ!」
豪快に笑ってAの頭をなでる爺
Aは嬉しそうに目を閉じている。
たしかに桃は美味かった。
だけど、なんだって俺なんかを…
慈悟郎「もう妹に手あげるんじゃないぞ。」
獪岳「え?」
その瞬間頬を思い切り殴られた。
痛くて死ぬかと思った。
A「おにいちゃん!
お、おじいちゃん、なにするの…やめてよお!」
俺を庇うように覆いかぶさるAに爺は悲しそうに笑った。
慈悟郎「わかるか、その子は小さくてお前しか家族がおらん。じゃから、なんど痛い目に合わされてもお前にすがりつく。そんなにぼろぼろにされてるのに金平糖ひとつで笑顔を向ける。
そうできることじゃあない。大事にしてやれ。」
Aは、こんなに小さな体で、あんなに痛い思いを何度もさせられても俺から離れなかったのか。
そう思うと変な気分になって、力一杯Aをだきしめた。
妹は嬉しそうに笑って腕を回す。
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pocky - 面白い!とっても素敵な作品ですね!! (2020年6月29日 22時) (レス) id: 67e63b3be0 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - 読んでる時の感想→「え?え?なんで優しいお兄ちゃんの獪岳が私(夢主)殴ってるの!?作者さん嫌い…いや嘘だけどさ、本当は大好き!!でもどうしてこうなった?あ、最後の獪岳の言葉身に染みる」って感じでうるさかったです…素晴らしいですね(さっきの言葉どうした) (2020年3月23日 2時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE(プロフ) - 最後の獪岳の一言で私の涙腺が崩壊した。 (2020年2月24日 23時) (レス) id: 3871cda528 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号(プロフ) - めっちゃ面白いえ、本当に面白いんだけど!( ゚ロ゚) (2020年2月20日 10時) (レス) id: 48661705e7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 続きが見たいです!!! (2020年2月18日 12時) (レス) id: 35ab4fcffb (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2020年2月16日 2時