182# 探索開始(29話) ページ32
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やっと班分けができた。この時点で1時半をまわっている。班が決まれば今度は探索する階を決める。旧校舎は参階建てだ。
今いる参階は弐班と参班が行うことに。このフロアには放送室もある。パーを出した泥田と紅子率いる弐班が、教師がいるだろうそこに奇襲をかけている間に、チョキを出した豆たち参班がまずは探索を進める。ひとつ階下は肆班、壱階は壱班が担当することに。
互いの区域が分かったところで班ごとに解散。私はハートの肆班なので階段を降りて弐階へ。メンバーはお馴染みの佐野と、この林間学校で同じ班だった富士。更にはマスコット枠の秋雨、お荷物の晴明くん。
「ねえねえ秋雨、ちょっとお願いがあるんだけど……」
「お? どうした」
晴明くん以外は正直悪くない組み合わせ。佐野は言わずもがな。富士は今年から同じクラスだけど、付き合いは昨年からあるし。秋雨がいるのが個人的には最も嬉しい。というのも……
頼りない担任にまたくっつく彼に話しかける。あのね、私が眠そうにしてたら猫パンチで起こしてほしいの。それに、やっぱり睡眠といえば夜だ。眠れないと苛苛しちゃうから、肉球触らせてくれたら尚良し。
「触らせるのはいいが、さすがのオレも女子は殴れんぞ。椎名に怪我させたら仕返しが怖そうだし……」
「いやいや、こっちが言ってるから。そんなことしないよ。あ、でも念の為に爪は出さないでね」
仕返しって。まさか自分も卒業生のようになるとか想像してるんだろうか。それとも、過去には狢を引っぱたいて教室の壁を破壊したこともある。やらないわ、小動物にそんなことしたら訴えられるよ。
では早速。猫又姿の彼はジャンプして私の腕の中に。いわゆる抱っこしている。ぷにぷにのお手手を触りながら大きな欠伸をこぼした。目薬を部屋の鞄に置いてきたのが悔やまれる。
更に下へ向かう奴らと分かれ、左右を確認してから私たちは弐階の廊下へ。今のところ卒業生の姿はなく、静まり返っていた。
「林間学校は富士とずっと一緒だね」
「おう、今回もよろしく〜」
壱年のとき私は弐組で、富士は伍組。ちなみに秋雨は参組だが、それでも富士は少し教室が離れていた。なのに何故親交があるのか。私……というより、朱鷺が仲良いから。
年中顔色が悪いうちの次男は普段から化粧をする。飾りつけるのではなく、血色よく見せるためにね。富士とメイクの話をするようになり、少ししてから『妹が富士と同級生』ということで知り合った。
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作者名:東雲れーた | 作成日時:2024年3月10日 14時