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卒業生たちはあの手この手を使って私たちを化かし、捕まえに来る。
しかし校内には一人だけ外に出られる昇降口の鍵を持った奴がいるらしい。生徒側はその者を見つけ、捕まえて鍵を受け取り、一人でもこの学校から脱出できたら…………このテストは全員合格、と。
『もちろん出口の扉は鍵でしか開けられない。前に夜中に学校に侵入したときのように鍵を開けるのは無理だぞ』
「一人でも、このお化け屋敷と化した学校から逃げ切りゃいいわけか……」
「よりによって入道も歌川さんもいないのに……」
とっかかりが何もないな。鍵がどういう形状なのかも教えてくれないじゃん。てことはだ、奪い取ってもダミーの可能性があるってこと。
しかも、こっちは開始前からクラスメイトを拉致られている。その中にはこういうときに指揮する役目のクラス委員も。……逆になんで、晴明くんがここにいるんだろう。
佐野が何か聞いていないのか訊ねるも、大したことは知っていなかった。くそ、使えない。
『一応言っておくが、力任せに出口を壊した場合は不合格とする。特に椎名、分かったな』
「なんで名指しなの」
『心当たりあんだろうが。日にち変わる少し前だ』
心当たり。ザビエルみたいに胸に手を置いて考えたけど、……うーん。いちいち時計なんて見てないって。もしかして、あのことかな？
布団の外に出ていたのは、国ちゃんの前にトイレに行った一回きり。彼女と顔を合わせる数分前の帰り道のことか訊いたら『それ以外にどれがあんねん』と、今度は神酒の声。あんたもそこに居たのか。
「出口のことは了解した。でもあれは正当な防衛だよ」
佐「お前何したの……？」
「秦中の言葉を借りるなら……卒業生を返り討ちにした、かも」
佐「は？」
視線というか、そういうものを前々から感じてたこともここで言っておく。……で、0時前だっけ？
女子部屋に戻ろうとトイレを出てすぐかな。背後に複数の気配を感じた。その手が私の体に触れようとしたから瞬時に振り返って顔面を狙って蹴り飛ばしたの。もう片方もそれに驚いている隙に後頭部を鷲掴んで、壁に叩きつけた？ てへ。
晴「そんな笑顔で言うことじゃないよ」
「今夜は眠りが浅くて苛苛してて。監視もウザかったから……つい」
『で、二人倒した後に更にもう一人やってたよね』
「ねずみ先生まで……、みんなで見てたんですか？」
趣味の悪い教師たち。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月10日 14時
