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いないのは秋雨と大田、尾形光、入道、前田、狢の六人。女子と合わせると二桁に及んだ。心当たり……あのとき国ちゃんにおかしなところは何も、いや。振り返る暇は無い、目の前の現実が全てだ。
次は教師部屋へ行ってみよう。さすがにこの人数だと、真夜中の校内を歩くことには何も感じない。または、この事態に気持ちが全振りしていて気にする余裕が無いのか。晴明くんたちの部屋は壱年弐組、参階だ。
みんなでゾロゾロと階段へ向かい、教室を目指した。本なんかだと、神隠しみたいに後列から消える展開があるけど……そんなことはなかった。というのも……
『お前なら何かあっても大丈夫だろ』
『なんか複雑』
佐野に言われて私が最後尾にいたから。女の子なんですけど、そう言ったら「鬼の世界に性別は関係ないんだろ」と返ってきた。それは前に自分が言ったこと。反論の余地無し。こんなこと話してる場合じゃない。
目指してた教室が見えてきたのか、前の方で佐野が「晴明!!」と呼んだ。ん、晴明くんいた?
これに続いて豆の声で、秋雨も一緒だったことが判明。私たちは全員の顔が見えるようにその場で輪を作った。二人にも、生徒が次々にいなくなっている現状を伝える。
「じゃあ……秋雨は入道と歩いてたら蓮浄さんと会って、トイレを終えたら二人はいなくなっていた。時間はそんなに経ってないね……」
「その二人も合わせたら既に十人いなくなっているようだな」
「ちょ……ちょっと、この学校おかしいんじゃないの?」
『やっと事態に気づいたようだな』
スピーカーか? 突然降ってきた声に思考が止まる。
教師も、晴明くんたちの話ではいなくなったはずだ。それなのに思わぬところからひょっこり出てきたものだから意識がそちらへ向いた。
『色々と怖い思いをした奴もいるようだが、安心しろ。これは化け学のテストだ』
「テスト!?」
「テストって昼間の崖登りじゃなかったのかよ!!」
『当たり前だ。体育のテストじゃないんだぞ』
たしかにアレ、化かすも何もないよね。大田は登れないし、前田や柳田を利用してクリアしても合格とか……うん、そんなわけない。秦中はそのままテスト概要を話す。現在、この学校には現役で化かしている学園の卒業生たちが潜んでいるらしい。
妖怪の中には卒業後は人間社会で生きていくタイプと、主にルックスが理由でそれが難しいタイプがいる。後者は化かすプロのため、相当怖い……と豆が説明してくれた。
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作者名:東雲れーた | 作成日時:2024年3月10日 14時