【WT】黒い瞳に光を映して (ページ40)

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ao「入るときは…ここがいいな。」

事前の下調べも完了し彼等の到着を待って居ると数分も掛からないうちに不自然な男が場内から出て来る。

〈今なら行けるぞ…!!〉

城の近くで隠れているフードを被った軍団の元へと駆け寄り、彼等へ伝達するスパイと思わしき行為を働いた男性には見覚えがあった。

WT国、副外交官様。

彼には幾つもの黒い噂が有るが、本人はそれらが嘘だと主張した。

賄賂の受け渡し

闇市場での商品売買

他国のスパイ説

後は彼自身がクズって事ぐらい。

入り口付近でこそこそと動く彼等を不思議に思ったWT国の騎士が此方へ向かって来ていた。

ao「逃げろ…!!」

俺みたいに暗殺系の仕事をさせられていたらきっと勝ち目はあったんだろうが、一般兵が大人数と戦うなんてほぼ勝ち目は無い。

咄嗟に茂みから体を出し、腹の底から声を上げたが既に遅かった。

斬られた腹部からは大量の血しぶきが飛び交い、一般兵を殺した奴の剣先は血で染まっていた。

ao「また…俺は守れなかったのか」

地に転がった赤い塊を見つめ無力な自分を恨み、刃物を持った。