【WT】黒い瞳に光を映して (ページ29)

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kr「…え、何??あの人……知り合いなん??」

驚きのあまり、声を出してしまったせいで隣りに居たきりやん様にバレてしまう。

嫌、彼を連れて着たという事はもう既にバレているのだろう。

sh「お前等知り合いでグルだもんな。」

正確にはグルでは無い。

そう答えようとしたが、何故か声が全く出なかった。

少しずつ息が苦しくなる。

『っ……はぁ、はぁ……ｯ』

kr「ｯ……大丈夫!?」

今、目の前の人と知り合いだって分かったのにそれでも私を心配して近寄るきりやん様。

私はそれが嫌で声を荒げてしまう。

『こ…、来ないでｯ!!』

彼と周りの人間を見ると昔の記憶がフラッシュバックする。

『ｯ……い、嫌ぁ…ｯ』

さっき、忘れたばっかりだったのに……

どうして、いつも嫌な方へと自ら持って行くのだろうか??

その辛さに耐えきれず、意識を簡単に手放した。

起きた時に何も考えなくて済むように_______

次に起きた時は真っ白な天井でふかふかのベッドの上だった。

「……ｯ起きた!!」

聞き覚えのある声が横から聞え、その声の主を見ようと体をゆっくりと起こす。

『……アオ??』

そこに居たのは、意識を手放す前に縄で縛られていたはずのアオの姿があった。

『良かったｯ…無事なんだね!!』

嬉しくなり、そのまま彼に抱き着く。

あまりそのような行動を見せない私に困惑したのか、彼は全く微動だにしなかった。

ao「……A、Aｯ」

『うん、居るよ…ここに。』

ao「本当にｯ…生きてて、良かったｯ……」

何があったのか…それを聞くまでに無い程、私の腕の中で小刻みに震えていた。

でも、どうして私達は牢屋に居ないのかそこが気になって仕方がない。

kr「あ、起きたね。」

白い衣服を着たきりやん様は私達の前に姿を現すとゆっくりと近づき、アオと私の頭を撫でた。

kr「本当、君等は頑張ってると思うよ。」

私には何だか良く分からなかったが、アオはその言葉の意味が分かったそうで再び目から涙を流した。

kr「ははっ、涙脆いね〜」

(「アオ、涙脆すぎだろ〜!!」)

今度は、気分が悪くならない過去の記憶がフラッシュバックし何故か私も涙が溢れた。

kr「……よしよし。」

きりやん様は静かに涙を流す2人を子供をあやすかのように優しく包み込む。

暫くして、泣きつかれたアオはきりやん様から離れ私の方に寄り添い、そのまま寝てしまった。