【WT】黒い瞳に光を映して (ページ23)

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山菜採りを中止し、目の前に立つ少女に話し掛けるが彼女はうんともすんとも返事をしてくれなかった。

反応に困った彼は、自分が無害である事を証明する為に山菜を採る時に使用しているナイフで自身の手を深く切った。

それを見た少女は焦って自身の着ていた服を破り彼の手に布代わりとして巻いた。
応急手当など慣れていない彼女の手付きはとても辿々しかった。

それを見た彼は彼女に微笑み掛け、もう片方の手で頭を撫でた。
少女はそれが嬉しかったのかその場で泣き崩れてしまう。

これをきっかけに彼女は彼に今まであった出来事を話した。
話の内容の殆どは、彼女が一人だけ違う扱いを受けていたという事ばかりだった。
今日は、家族に捨てられたらしい。

そんな話を聞いた少年は少女を見捨てるはずも無く、彼の家族として受け入れた。
家族の居ない少年にとって、少女が来る事はとても喜ばしい事で妹のように沢山、彼女を甘やかしたそうだ。

『……お終い。』

全てを話し終えた後、『面白くなかったですよね??』と彼等に話し掛ける。
だけど、反応はそこそこ良かったらしく少し満足気な顔をしていた。

ry「でも、終わり方が中途半端ね。」

「まるで続きがあるみたいに」と補足した。
そう、この話にはまだ続きがある。
だけど、あまり話たくも無い内容なのであえて話していなかった。

『まさか、そんな事無いですよ。』

感情を押し殺し、平気で嘘を吐く。
接待をしていた頃はこれが当たり前だった為、相手を騙す事には慣れているつもりだ。

『broooock様、満足ですか??』

br「うん、これで少しは頑張れそう〜」

broooock様の機嫌が直った事を再度確認し、再び作業へ戻る。
その間も時々、先輩とbroooock様の言い合いが起きていたが聞いていないふりをして目の前の資料に目を通す。

その時、ふと気になる資料を発見し見てみるとそこには見覚えのある顔が映った写真が貼ってあった。

br「あれ??その顔、僕も見た事あるよ。」

『えぇ…私もです。』

いつの間にか隣に来ていた彼に返事を返し、再び資料に目を移す。

……私は今、最悪の状況に居る。
その資料の内容は彼が国を裏切る行動をしているという疑いが掛けられているということ。

なんでコイツはいつもいつもバレやすいのだろう…ため息をつくとバレてしまうのでグッと堪えた。