【WT】黒い瞳に光を映して (ページ22)

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部屋の中に入った途端、broooock様が私の近くまでやって来て目を輝かせていた。
私はそれに少し気味悪がって顔をしかめたが、相手の気持ちを考えて直ぐに気持ちを切り替える。

『どうかなさいましたか??』

br「一緒にサボろ〜!!」

「『はい??』」

聞き間違いでは無かったら今、broooock様はリユル先輩が居る目の前でサボる宣言をしたのだ。
それを先輩が聞き逃すわけが無い。
彼の肩にポンと手を置くと元いた場所に連れ戻され、睨み付けていた。

ry「そんな事、している暇があるなら終わらせて下さい。」

きっと、徹夜をしたのだろう。
睨み付けるその目の下には隈が出来ていた。
broooock様は不貞腐れたのか一向にやる気配が無い。

そんな君主様を横目にリユル先輩から仕事内容を聞き、大量の紙を貰う。

ry「これとこれを今日中、これは明日の昼まで。これはこれとこれが出来次第、直ぐに完成させて私に持って来てね。」

こんな量を毎日やっているのか…
そう思うと気がとても遠くなりそうだ。

一旦、考える事を放棄してリユル先輩と同じようにbroooock様の部屋で監視をしながら仕事を坦々とこなす。

br「ねぇ〜何か面白い話とかない〜??」

ry「そんなもの無いですよ……Aさんはあるの??」

私は関係ないと黙っていたが、それは許してくれなかったようでリユル先輩もbroooock様も少し興味ありげに此方を見つめる。

『…まぁ、ありますけど……そんなに面白く無いですよ??』

何度か念を押し、何処かの村で起きた1つの昔話を彼等に話し出す。

『昔、昔。とある村の外れに住んでいた少年は村の嫌われ者でした。』

彼は村の誰よりも優しいはずなのにどうして嫌われてしまうのか…それには幾つか理由がありました。

1つ目は彼の顔、体に出来たもう治らない火傷の痣。

2つ目は彼が呪われているという噂が出てしまったから。

彼は人一倍、運が悪いだけであって呪われてなんかいない。

そんな彼がいつものように森で山菜を採っていた時、1人の少女と出会いました。

彼女はとても綺麗な顔立ちをしており、着ていた服は誰が見ても高級なドレスだと分かる服を着ていました。

だけど、その服はボロボロで顔も良く見てみると幾つか傷跡が付いていました。

嫌われ者は誰に対しても優しい。

だから、そんな彼女を放っては置けなかった。