遠慮 ページ16
無事に大夢の体調も回復しなんとかレコーディングを終える。入れ替わりだと言うのにスタッフさんに駄々を捏ねて心配そうに見守ってくれた理人と当の大夢はふたりで行きたかった居酒屋に行くとか。元気になったなら良かった、と大夢の背を軽く叩けば今日何度目か分からないくらいの「ありがとう」を言われる。
「てか、ナベくんご飯行きません？」
「え、匠海ひとりなの？京ちゃんは？」
「います！今日のフィードバックしましょうよ」
俺の後ろを通りがかった匠海はペンを走らせた跡がある歌詞カードを片手にそう誘った。頭を搔いて気晴らしに行くか。なんて返事をすると行きましょ行きましょ、と俺を急いで立ち上がらせてはレコーディング室の扉を開ける。大夢と理人にじゃあね〜と手を振ると気怠げに振り返してくるのでかわいいなあ、なんて思いながら。
「京ちゃんどこおるん」
「あ！京介！」
レコーディング室のすぐ横にある自動販売機あたりでそう声をかけると忘れていたかのようにぱちりと瞬きをして匠海はカバンに入れていた携帯を取り出してはスピーカーにして京ちゃんに電話をかける。3コール目で携帯越しに「匠海今どこいんの？」なんて困ったような京ちゃんの声が聞こえて思わず笑ってしまう、息が合うけどこういう意思疎通は取れないそんなふたりがかわいらしい。
「珍しくないっすか、ナベくん来るのとか」
「匠海にフィードバックしようって誘われたからさ」
「そう！今回のパートってハモり多いじゃないすか、ていうかナベくんなんてほぼほぼ主旋律歌ってないし！」
ふたりの"いつもの"である焼肉店に連れてきてもらい、注文を任せる。肉食べるより先に野菜が食べたい、と言った俺のために頼んでくれたチョレギサラダをそそくさと食べていたときにそう言われて。悔しくないんすか！？なんてお酒を入れてテンションが上がってきた匠海に詰め寄られる。
俺の声は大夢みたいに音域は広くないし、京介みたいに突き抜ける高音は出ない。匠海みたいにハスキーな特徴的な歌声でもない。少し前の話になるけどポジション評価で披露した"Pretender"だって俺のパートは大夢を引き立てること、を考えたハモリばかりだった。オーディション中に自分が目立つこと、よりも主役を引き立たせること、に重きを置いていた俺はデビューしてからも自分のパートが少なくても"悔しい"の感情はひとつもなかった。
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お米(プロフ) - お話素敵でした！これからも楽しみです！あとオリ/フラついてしまってます...💦 (12月26日 14時) (
レス) @page1 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます…！お待たせしてしまい申し訳ございません、楽しんでいただけますと嬉しいです¨̮⃝ (12月20日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - お話拝見させていただきました！本当に面白くて好きです更新楽しみにしてます！ (12月14日 17時) (レス) id: 4a9e06878c (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます。とても励みになります…！ぜひこれからも拝読頂けると嬉しいです。 (12月1日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
みに(プロフ) - なんかもうめちゃくちゃ良くて最高でした…また更新されるのが楽しみですᐡ ߹𖥦߹ ᐡ (11月30日 19時) (レス) @page13 id: cd7c74c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：173 | 作成日時：2023年11月27日 8時
