・ ページ12
プデュの期間、まだ俺が誰とも仲が良くなかった時。周りはレベル分けのグループで一緒にいる中、俺だけが1人で。やって行ける気がしない、というかこれからどうなるんだろうなんて俯瞰的に考えていたとき、視線を感じて振り返ったときに目が合ったのが雄大だった。
「ぇ、渡辺さんですか、あの」
見知らぬ男の子から名前を言われて戸惑いながら頷くと両手で顔を覆って「マジでファンなんです…」と言われありがとうございます？と咄嗟に疑問形で返したのがきっかけで 一緒にいた威尊や匠海に突っ込まれて仲良くなった。
友人と京都旅行に行った際、俺を見つけてインスタをフォローしたことやオンタクトの動画を見てびっくりしたこと、60人に残って会えたら嬉しいと思っていたら本当に会えたこと。そう興奮気味に話す雄大に対して、俺は自分のことを知ってる人などまさかいると思ってなかったから少し恥ずかしかった。
コンセプト評価でAnotherDayを選択した俺はそこで雄大と初めて一緒になった。部屋に入った瞬間、ドヤ顔をしている匠海に対して驚いた顔で駆け寄って「絶対来ないと思ってた、shadowじゃないん！？」と言った雄大に、見せたいのはshadowだけど、やりたかったのはAnotherDayだった。なんて言うと「たしかに…Aくんの君と会えた聞きたいっすもん…」と頭を抱えた姿に笑ったのが最近のことよう。
2人で深夜まで練習を続けて気晴らしに外に出かけたことがある。少し弱気になった俺は悩みを打ち明けていた。父子家庭でアイドルになる夢を一度諦めたこと。年齢的にもこれがチャンスなこと。今までずっとデビュー圏外で先が見えないこと。
「俺、有難いことにずっと高い順位を貰えてるんですけど、わがままを言うとデビューしたいんですよ、Aくんと」
俺の目を見て言う雄大に照れ臭くて、出来たらいいなと夜空を仰いだことで諦めきれなかったあの時の気持ちを思い出せた気がした。
「雄大、ファイナルで俺の名前が呼ばれた時覚えてる？」
「うわ、それだけは思い出したくないねん、マジで」
ファイナルで最後に名前が呼ばれてデビューした俺は驚きのあまり反応ができず放心状態で花道を歩いていた。そんなときに雄大はありえないほどの涙を流して隣にいる威尊から笑われていた。メンバーからもネタにされてことある事に"あのときの雄大よりは泣いてない"なんていじられている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お米(プロフ) - お話素敵でした！これからも楽しみです！あとオリ/フラついてしまってます...💦 (12月26日 14時) (
レス) @page1 id: 1a788f23e1 (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます…！お待たせしてしまい申し訳ございません、楽しんでいただけますと嬉しいです¨̮⃝ (12月20日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - お話拝見させていただきました！本当に面白くて好きです更新楽しみにしてます！ (12月14日 17時) (レス) id: 4a9e06878c (このIDを非表示/違反報告)
173(プロフ) - コメントありがとうございます。とても励みになります…！ぜひこれからも拝読頂けると嬉しいです。 (12月1日 9時) (レス) id: e6330a4b68 (このIDを非表示/違反報告)
みに(プロフ) - なんかもうめちゃくちゃ良くて最高でした…また更新されるのが楽しみですᐡ ߹𖥦߹ ᐡ (11月30日 19時) (レス) @page13 id: cd7c74c237 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：173 | 作成日時：2023年11月27日 8時
