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…
あらきさん、なるせ、めいちゃんがはしゃいでお菓子を開けて楽しそうにしている声をわたしは少し離れて聞いていた。
空を見ると綺麗な星。
g「…………綺麗やなあ。」
隣には、………先輩。
「綺麗ですね。」
g「あれが、デネブ、アルタイルで…あれがベガか………」
君が指差す夏の大三角。
…………あれ、彦星、いない。
いくら探しても、どこにもいない。彦星だけが私たちからは見えない。
g「……………こんなはっきり見えるなら、兄貴に感謝せななあ。」
織姫がひとりぼっちでそこにいること、気づいてるのはわたしだけで。胸が苦しくなる。
「そうですね。今年もみんなの願い、叶いそう。」
わたしの願いはきっと………
そう思うとふいになるせが言った「がんばれ」が頭を児玉する。ねえ、………がんばるってなにを？なるせ。教えて。
チラッとなるせを見ると、わたしに向けるみたいな優しい目で星を見ていた。
「ねえ、先輩。」
今言えば、……先輩は………
g「んー！？どうしたん！？」
先輩からの優しい視線がこちらに向けられているのに、気づく。わたしは先輩の方を見れずにいた。
長い沈黙。心臓の音がどんどん早くなる。
ねえ、先輩。私のわがまま、聞いて、………くれる？
息を呑む。言いたい言葉は空回りして、口から出てこない。
「…………お菓子！美味しそうですよ！」
g「あ、ほんまやな！俺も食べいこー！」
…………言わなかった。言えなかった。
先輩のあのまっすぐな目で「歌手になりたい」と言っていた姿が脳裏に浮かんだ。
走っていく先輩の後ろ姿に、蚊の鳴くような小さな声で、聞こえないように先輩の名前を叫ぶ。
「………………ずっと好きでした。」
伝えられなかった思いを、小さく、叫んだ。
g「ホラ！A！Aも食べよー！」
振り向く先輩の、優しい眼差しに必死に溢れてくる涙を隠す。
「ハイ！先みんなと食べててください！」
……………きっとこれでよかったんだ。
先輩の怒った顔も笑った顔も大好きでした。わかってたのにこんなに涙が溢れてくる。おかしいなあ。
君の知らない、私だけの秘密。
…
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2023年9月6日 3時
