⭐︎ ページ17
…
天文部として彼女と過ごす時間はきっと、少なかったけどそれでも俺には輝いて見えた。
「金城先輩ー！体育ですかー！？」
教室の窓からぶんぶん手を振る彼女。周りの視線が集まる。彼女はどこの学年にも知れ渡っているから男の視線が痛い。
g「そう！がんばるわあ！」
見えるように手を上げて俺も大声で答える。彼女の後ろには俺を睨むなるせ。あの頃はなるせもあらきさんもいかつくて、俺のことめちゃくちゃ睨んでたなあ……。
…
「…………先輩、いりません？」
夏の暑い日。部室でダラダラしていると彼女がたくさんのサイダーを抱えてにっと笑う。甘いサイダー。
g「…………お、ええの？」
「これ前飲んで美味しかったから、みんなと飲みたいなあって思って。」
手渡されたサイダーはめちゃくちゃ冷えてて美味そう。
g「ありがとう、A。」
「いえいえ、それ美味しいですよ。」
そう言ってふんわり笑う彼女にギュッと胸が苦しい。
「なるせの分もあるよー！あらきさんもー！」
そう言って布団でくつろいでいる彼らに、サイダーを渡しに行く彼女の背中を見つめる。
n「おっ！気、効くじゃん！天才だわ！」
「ふふ、でしょお！？」
a「え〜あざっす。うまそ〜。」
彼らのわちゃわちゃ声を聞きながら、サイダーを開ける。この頃にはあの2人とももう打ち解けてたっけ。
手渡されたサイダーを開けるとプシュ、と炭酸の抜けるいい音がして、そのまま喉に流し込んだ。
g「…………あまいなあ。」
この季節に合う冷えた炭酸の爽やかさと、サイダーの甘みが溶け合って、うまい。
n「え、うますぎなんだがなにこれ……」
a「ちょっっと、甘いねえ。」
「あまくておいしくない？」
n「……………うん、美味いよこれは。」
「ふふ、でしょ？あらきさんもげろさんも無理しないでくださいね。残したら私がもらいまーす！」
n「あ、オメー太るよ？」
「ねえー！うるさい！私は標準体重だからいいの！」
a「…………ってより痩せすぎじゃないっすか？最近ちゃんと食べてます？」
彼らの雑談を頬杖をつきながら聴いて、もらったサイダーを少しずつ飲む。…………何気ない時間なんだろうけど、それがめちゃくちゃ愛おしく感じた。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2023年9月6日 3時
