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…
【Gero side】
ま「ここが天文部っすかーー！？！？」
彼女と出会ったのはばちばちギャルの後ろで何故か隠れながら彼女が天文部の部室のドアを開けたあの日。
g「そうやでー！ここやで！」
ま「入部希望なんですけど！！！！……この子も！！！！」
そう言って背中を押された彼女は気まずそうに笑顔を作ったのをよく覚えている。
第一印象はシャイな子。まあ、まみちゃんの圧に押されて入り口で入り兼ねてたところを押し込まれたんだろうなと安易に想像はついた。…………次はなんやろう、美人やなあぐらい。高校生の幼い顔にしてはもう完成してた。
…
ある日の部室。扉を開けると彼女が本を読んでいた。
g「おはよ、A。」
「あ、おはようございます。先輩。」
部室は手広いのに、俺らだけしかいない空間。外から運動部の声が聞こえてくる。所謂、エモい、空間だった。俺的には。
g「………何読んでるん？」
「星の、王子様読んでます。」
g「お、天文部やしなあ〜好きなん？」
「……………はい、とっても。」
g「へえ、どこが好きなん？」
「…………どこがって言われると難しいんですけど。」
「星が綺麗に見える理由が、わかる気がして………私は好きです。」
夕焼けに照らされる横顔、少し含みを持たせた言い方、優しくふんわり目を細める彼女に、目を奪われていた。
g「……………星が綺麗に、見える理由か………」
少し反応が遅れる。彼女は一歳下だけど自分よりもっともっと大人に見えた。
「『もしも、誰かが何百万も何千万もある星のうち、たった一つに咲いている花を愛していたら、その人は星を見るだけで幸せになれる。………僕の花がどこかにあるってね。』」
「『星々が美しいのは、ここからは見えない花が、どこかで一輪咲いているからだね。』」
「……………ふふ、これだけで星を眺める度にワクワクできません？私はとっても、好きです。」
表情は凛としていて、まだ星の見えない空を見上げている。ぎゅっと胸が熱くなって、心臓がバクバクするのを感じた。
………………正直、バカな俺には詩的なことはわからない、でもそれでも初めて誰かを美しい、と思った。こんな感情を学校の人間に持つのは初めてで、戸惑って変な返事しかできなくなったのをよく覚えている。
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2023年9月6日 3時
