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授業中に携帯が震える。開いてみると、レトルトから焦った連絡。……なるほどねぇ、俺が今慌てても何もできないのでとりあえず了解の連絡を送る。
……4限、サボるか。
その後の授業は何をしたか全く覚えていない。まぁ、いつもそうなんだけどな。今日はいつもより教授の話が耳に入ってこなかった。
家に帰ると丁度、レトルトとAが帰ってきた様子だった。
「今日は夜ご飯用意するのめんどくさいから、コンビニで買ってきて！ごめんね。私の分はいらないから。」
そう言って階段を駆けあがるA、心配そうな視線を送るレトルト。
牛「お帰り、…どうだった？」
レ「楽しそうではあったし、ご飯も食べてたんやけど…時々ぼーっとしてて。」
レ「俺じゃダメかぁ…。」
牛「そんなことねぇよ。多分アイツ今日お前いなかったら、引きこもってただろうからなぁ。」
レ「…そうかなぁ、とりあえず今日俺夜ご飯作るわ！」
牛「…え、できんのか？！」
レ「俺、ここ転がり込む前は一人暮らしやってんで？任せて。うっしーにはAちゃん任せた。」
切なげな視線を俺に向けるレトルト。
牛「お、おう。わかった。」
階段を駆け上る。……年頃の妹になんで声をかけたらいいのか。どう接したらいいのか。
牛「よし、行くか。」
小さくつぶやいて覚悟を決める。「入るぞ」と声をかけると慌てた様子のA。しばらくして部屋に入れてもらう。
牛「…うわ、お前片付けしろよ？」
「うるさいなぁ、女の子の部屋に入ってきて言うことじゃないじゃん…？！？！」
牛「…まぁ、そうだな。ごめんごめん。」
冗談混じりに笑ってる妹の笑顔が無理をしているように思えて言葉が出てこない。
「ここ座れ。」とAを隣に座らせる。
「…んー…今日は、ね。楽しかったよ！トレさんがね、美味しいオムライス食べさせてくれ…て。」
わかりやすく揺らぐ瞳と震える声。
そういや昔もあったなあ…こういうこと。当時のように優しい口調で。
牛「本当に？兄ちゃんに嘘つくなよ？」
線が切れたように真実を話し大きい瞳から涙を溢すA。俺の腕に飛び込んでくる震えるAをぎゅっと抱き止める。
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2021年7月29日 0時
