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好きな人、好きな、人…好き…あ、そっか、好きってその好きじゃなくても、…良いのか。面白くはないけど、これしかない。
「ねぇ！！！！来て！！！！」
思いっきり客席に向かって叫ぶ。……もうどっちでも良いから、早く。
レ「…え？俺ら呼んでる？」
牛「そうみたいだな。」
「どっちでも良いから！来て！！！！！」
牛「レトルト、行け。」
レ「ええ…？！俺？！？！」
困惑した様子で客席から出てくるレトさん。今度は私がその手を掴んで、ゴールに走る。
「レトさん、ごめんね。」
レ「ええよ、俺は全然。」
そして見事ゴールした。
生徒「……えっと、その人はお題の借り物ですか？」
「はい、好きな人、です。」
レ「……みたいです。」
生徒「……はい、1位です。佐々木さん、自分の席に戻ってください。」
「あ、わかりました。レトさんありがと。戻ろう。」
騒がしい通路。レトさんを観客席まで送り届ける。
「……なんであの人、冷たかったんだろう。」
レ「Aちゃんのこと好きやったんちゃう？」
「いや、そんなまさか…名前も知らないのに。」
レ「いや、可能性あるよ。俺呼ばれて出てきた時、生徒が座ってる方からすごい声が…」
「ええ〜？なにそれ。」
レ「めっちゃすごかったよ！なんか…どよめき？みたいな？」
「ふふ、そんなことないよ。」
レ「…あ！そういや！昼ごはんこっち食べに来ない？食べよ〜Aちゃん。」
「あ、うん、そうしよっかな。じゃあまたあとでね！本当ありがとう！」
レ「うん！いつでも駆けつけるよ！じゃあ」
レトさんを見送って席に着こうとすると、同級生の男の子に囲まれる。
生徒「あの人誰…？！？！！」
「…え、大学のお兄ちゃんの友だち。」
生徒「す、好きなの？」
「ええ、まあ…うん。ちょ、水飲みたいんだけど…」
生徒「付き合ってるの？！？！」
キ「あーあーおめぇらうるせぇよ。」
男子生徒の間を割って高身長のキヨくんが出てくる。
キ「ほら、行くぞ。席。」
ぐっと手を引かれてその集団から抜け出す。しばらくしたところでパッと手を離される。
「キヨくんごめん！ありがとう！」
キ「………で？レトさんのことは？好きなの？」
「え、好きだけどみんなの思う好きじゃないと思う。」
キ「そっか……そうだよな。」
少しの沈黙。あの時の返事を返すのは今しかない気がする。
立ち止まって息を呑む。立ち止まった私を不思議に思ったのかキヨくんも不思議そうに振り返る。
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2021年7月29日 0時
