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キ「……お前がそう言うなら、しゃーねぇな。」
キ「でも今日はもう帰れ。」
「…うん！ありがとうキヨくん。」
キ「先生には上手いこと言っとく。作品のことも…」
「せっかく手伝ってくれたのにごめんね？」
キ「…いや、誰も悪くないんだろ？じゃあ、仕方ないから。また新しいの手伝わせて。俺頑張るわ。」
「……ふふ、うん！お願いするね！じゃあまた。」
そう言って彼女も駆け出した。呆気に取られて立ち尽くしてるフジ。
キ「…何があったかしらねぇけど、ってことらしいわ。」
フ「う、うん。……いいのかな。これで。」
キ「アイツがいいって言ったら、いいんだ。な？教室戻るぞ。」
フ「…おう。」
2人とも黙って廊下を歩く。こんなにも居心地の悪い空間は初めてだ。
フ「…キヨお前さ。」
キ「…ん？なに？」
フ「…Aちゃんとお似合いだよな。」
目を伏せてそう切なげに笑うフジ。……なんだよ、それ。
キ「…そんな顔で言われても、全然嬉しくも何ともねぇわ。」
フ「…そっか、ごめん。」
また黙って歩く。
キ「フジ。」
フ「ん？なに？」
キ「…何があったのかは知らない、まぁ、大体予想はつくけど。勝手に諦めて、勝手にどっか行くなよ。」
キ「アイツの気持ちも、西野の気持ちも無碍にすることだけは絶対にすんな。」
キ「まあ、俺が偉そうに言える立場じゃないけど。」
ハッとした顔で黙り込んでしまったフジ。…何でこんなこと言ったんだろう。コイツは言えばライバル、なのに。
キ「俺さ、アイツの悲しんでる顔もう見たくないんだ。」
キ「……これ以上、アイツの悲しむことはしないでやってほしい。」
…もうあんな顔は見たくないから。
フ「………わかった。」
走ればすぐに着く距離の教室が長く感じる。…アイツを笑顔にできるのはきっと俺じゃなくて…。できるだけ考えないようにしよう。
フジと別れて教室に入ると頬杖をついた西野が目に入る。その頬には泣き跡があって……なんとも言えない気持ちに飲み込まれた。
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作者名：抹茶ふらぺちーの！ | 作成日時：2021年7月29日 0時
