俺の弱味を握るのは Pt.２【北信介】

53 ページ4

＊

｢｢｢わぁぁぁ！！！｣｣｣

侑のサーブで何点か取った試合中盤

その代わり、アランの調子がちょっとおかしい

そして

ﾋﾟｰｯ

メンバーチェンジ


『あっ、』


北がコートに入った


私は全力で声を掛ける


『ｯｯｽｩ…北ぁぁぁぁぁ！！！見とるよ！！！！』


多分本人には聞こえてへん

けど

聞こえてなくても、ええねん。

伝えたいだけ、伝わらなくても。


結｢っ！…ふふっ｣



＊＊＊


トリノ…もとい、烏野の緑髪の子

ピンチサーバーという名前の役割で入った

この子のサーブは

ウチを翻弄したが

北は一発で、丁寧に、綺麗に

舞い降りたボールを受け止めた

『わっ…すご…』


私は素直にすごいと思った



しかし、数プレーしたら

北はまたベンチに


私は、北のバレーしてる姿を見れて満足した


そう、私は。



｢やっぱ地味やなー、北｣



そんな声が前から聞こえてきた


耳をすまして聞いてみると


｢え？なんで？｣

｢いやさ、なんやろ。ミヤンズやらアランは、攻撃が派手やん？でも北って地味やない？丁寧すぎるというか、淡々としてると言うか…かっこ悪いというか…｣

｢あー、わからんでもないなぁ、｣

｢よな！…あんなんで…楽しいんかな…｣




一度、北に聞いた事がある

なんでそんなに何でも丁寧に出来るのか

飽きずに反復、継続出来るのか


すると北は

“北｢ばあちゃんの教えやねん｣”

そう、簡潔に教えてくれた

北にこの教えを施したおばあちゃんの目の前で

何言うとんねん

事情は知らんとしても

楽しいかどうかは人それぞれやから

それは言うたらアカンやろ









『ちゃんとやる事の、何がかっこ悪いん？』









気付いたら、そう声に出していた

54→←52

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す