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たとえば狐の革衣 ページ3

中也side



幼馴染のAは、何時の間にか友達と思えなくなっていた。

友達じゃなくて、一人の女としてみるようになっていた。




何時からこんな気持ちになっていたのかは分からない。

でもAは、俺の初恋の相手だ。




今日俺がAに出したカクテル、カンパリオレンジ。
このカクテルの、カクテル言葉は「初恋」。



多分Aは、カクテル言葉なんか知らないと思う。
でも直接言うのは、まだ早い気がする。


誰かを好きになるのは初めてだった。一番最初に会った時から、いい人だと
思っていたが、真逆Aに恋するとは。





Aは、俺の事は友達としか思ってないかもしれない。
それでもAが好きだ。


「ねぇ中也!さっきから呼んでるんだけど。聞いてる?」

「あぁ悪ぃ、ボーっとしてた。」

「ボーっとするなんて中也らしくないな。」

「まあ、飲もうぜ。」




何時もAのことばっかり考えてしまいそうだ。
俺はAのその笑顔に、心を奪われた。




「なぁ、A。「好き」って何だと思う。」




別に聞こうとしてたわけじゃないが、無意識に問いかけていた。



「好き、か。誰かを大切に思う気持ちじゃないかな。だれかを好きになったら、
自分よりもその人を優先しようとする気持ちだと思う。」

「そうか、Aは今まで誰かを好きになったことあんのか?」

「この気持ちが、好きって気持ちかどうかは分からない。でも
大切にしたい、ずっと一緒にいたいって思ったことはあるよ。」

「それが、俺だったりするか...?」

「どうだろうね、中也ならわかるはずだよ?」




意地悪だなぁ、青鯖にそっくりだぜ。でも、ちょっと期待していいのか?
もしや俺をからかってるんじゃねぇのか。絶対そうだな。


…これで片思いだったら、俺の人生終わるぜ。





「…ふわぁー。眠たいなぁ。帰るのめんどくさい。」

「もう外暗いし、泊ってくか?」

「やったあ!じゃあ、風呂借りるよ。」

「人ん家に来て、随分と自分勝手だな。」

「泊ってくか?て言ったのは、どこの誰だっけー?」

「はァ、さっさと風呂入ってこい。」



静かになったリビング。向こうからシャワーの音が聞こえる。
俺は一人で考える。



俺は、Aに恋して正解なのか。もしかして、このまま友達の方がいいんじゃないのか。

小雪のかかつてちぢこまる→←今日は風さえ吹き過ぎる



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作者名:白雪 | 作成日時:2018年3月5日 20時

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