少しくらい、俺のこと見てくれてもええんやで？〈3〉【宮治】

気まずい教室 ページ10

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Aside





朝練はどうにかやり過ごせた。


でも、大変…というか気まずいのはここからで。





A｢……｣



治｢……｣





なんで、こんな時に限って隣なんだか。


しかも、アクティブラーニングや！とかいう先生達が、頻繁にペアワークを組み込もうとするから、ふたりの間には沈黙ばかりが流れる。




あーあ、いつもだったらお弁当の話とか、部活の話とかで盛り上がるんだけどな。



あれからまた交わらなくなった視線が
昨日のことは現実だと言っているようで、ますます悲しくなる。




すると。



────コロン。




………あ。



何かが視界の端を横切ったかと思うと、
それは机から落ちたらしい治の消しゴムで。



私の椅子の下の方に転がったから、
なんとなく手を伸ばすんだけど、





A｢…っ、｣





無言の治の手が、ひと足早くそれを掴む。



そして何事もなくまたノートを取り始めるもんだから、
なんとなくで動いた自分の手が虚しくて、誤魔化すように黒板に視線を向けた。




……色んな行動で、避けられてる気がする。


好きな人に拒絶されるって、こんなにも辛いんだ。


もしかして、ずっとこのまま……？




そんなことを考えてみるともっと悲しくなって
微かに震えた手をもう片方の手で覆った。





………そんな私に、神様が気を遣ったのか、単なる気まぐれか。





｢よし、席替えでもしよか。｣





そんな先生のひと言で始まったくじにより、
私と治の席は一気に離れ離れになった。






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